慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

お墓も納骨堂も“最先端”でない方がよさそうです。

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 昨日の北海道の地震でさまざまなことを考えました。地滑りなどの犠牲になられた方のご供養を今朝の勤行でさせていただきました。

 一番強く印象に残ったのは、もちろん犠牲者の方々のことですが、泊原発で外部電源が喪失したために大事故につながりかねなかったという記事にも強い不安を感じました。

 私たちの暮らしが電気に大幅に依存していることは否定できないし、これからもその度合いは深まるばかりでしょう。しかし、電気は停まることもあるし、なんにせよハイテク設備と並行してアナログのものも残しておくべきだと思うのです。

 私がカナダで暮らしていたとき、真冬に送電線に氷がたくさん着いてしまい、送電塔がドミノ倒しのように次々と倒れてしまった事件がありました。真冬のことでしたし、停電は長期にわたったので、電気で暖房を行っていた家では凍死者も出るほどでした。点火は電気だったので、ガス暖房も無力でした。住宅はセントラルヒーティングが普通なので、日本のように石油ストーブがどの家もあるということもありません。助かった家の多くは、薪を燃やす暖炉を持っていました。

 私は、パソコンもカメラも使いますし、ハイテクの恩恵は十分に受けていて、ありがたいと思っています。しかし、「最先端」は、完成したその瞬間に古くなっしまうものです。常に更新しなければなりません。

 それよりも、電気も機械も使わない、伝統的なものの良さも忘れてはならないでしょう。その代表的なものがお墓と納骨堂です。

 今、名古屋にも大規模な納骨堂が建設されています。その中の多くが自動式搬送式のものです。カードを入れると機械がお骨を参拝場所まで自動搬送してくれるというわけです。室内でお参りできるし、掃除やお世話も不要。ロビーも参拝エリアも一見ゴージャスです。

 しかし、電気やコンピュータを使う機械、システムはエラーや停電の可能性があります。今は最先端でも、アッと言う間に古くなってしまう。きちんとメンテナンスをしてくれるのか心配です。

 それより、自分の手で雑草を抜き、花を供え、厳かな雰囲気の石のお墓の良さも大切です。公営の大規模墓地も良いところはたくさんありますが、やはり墓地は寺院と一体になっているのが一番だと思います。毎日の読経が聞こえ、信仰の場にお墓があることは、特別な安寧を家族にもたらしてくれるでしょう。

 もちろん、信頼できる僧侶がいるお寺であることが大切です。

 慈雲寺に墓地を持っていてくださる方々が、安心して、「お寺参り、お墓参りに行くと気持ちが穏やかで、すっきりする。」と言っていただけるようにならなければいけませんね。まだまだ精進が必要のようです。

◎ 今日の写真は、インターネットの無料素材画像からお借りした、おそらくヨーロッパの納骨堂です。