慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

怨みを捨ててこそ・・・

今日のお釈迦様のお言葉

「この世においては、怨みに対して怨みをもって返すなら

いつまでも怨みが消えることはありません。

 怨みを捨ててこそ怨みは消える。これは永遠の真理です。」

                   『ダンマパタ』

 

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 日本にお念仏の教えを確立した法然源空上人(法然上人)は、幼少の時に目の前で父親が殺されるという悲劇を体験しました。瀕死の父親は、敵討ちをしようとする勢至丸(法然上人の幼名)を諫め、怨みの連鎖を招くのではなく、出家して菩提を弔ってくうれと頼んだと言われています。

 人を怨んでの行動は、新たな怨みを生み出すだけで決して心の平安をもたらしてくれることはないでしょう。

 このブログで何度もご紹介している仏書伝道協会発行の子供向け仏教入門書『ぶっだがせんせい』では、最初にあげたお釈迦さまのお言葉を以下のように言い換えています。

 「やられたからって"しかえし”すると、

     ずうっと“しかえし”のくりかえしだ」

 

 そして、この言葉の説明の最後にはこう書いてありました。

「くやしくて、あいてをにくんだりするより、その気もちをすてることも、ゆうきなのです。」

 ここで「ゆうき」という言葉が使われていることをとても興味深く思います。仏教は慈悲の心で怨みに打ち勝てと教えています。「慈悲」というと、穏やかで、柔らかな印象の言葉ですが、実は「勇気」に裏打ちされているのですね。

 人を赦すことは、自分の頑なな心を和らげ、肩にのしかかっている重荷をおろすことでもあります。

◎今日の写真はエクアドルで見た蘭の花です。今日は法事が二組あり、『阿弥陀経』というお経を大きな声で二巻読誦したら、イグアナから生還した感じです。