慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

別れの言葉は心をこめて・・・・二度と会えないかもしれないから

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 中国の浄土教を大成し、法然源空上人(法然上人)など多くの日本の僧侶たちに深い影響を与えた善導大師は、人の命を「日向に置かれた切り花」に例え、花がたちまち枯れるように、人の命もはかないものだと教えています。

 私たちは、いつどのような状況で今の命を終えることになるか全くわかりません。そのことにおびえたり悩んだりするのではなく、危ういからこそ「今、この時」を十分に生きることが大切なのです。

 その人と交わした最後の言葉・・・の記憶は時に非常に哀しいものです。その日の朝、口喧嘩をして、お互いに罵り合って家を出たとか、伝えたいことを「また後で」と先延ばしにしたまま別れた・・・・などなど、その人との最後の言葉を思い出すと深い後悔に心が締め付けられてしまうという経験は、多くの人を長く苦しめます。

 どうか、人を見送るとき、別れるときの言葉は心を込めて、「愛語」と「笑顔」を忘れないようにしましょう・・・電話の最後の言葉も同じです。

 言っておきたいことは先延ばしにしてはいけません。感謝の言葉、ねぎらいの言葉は特に。「言わなくてもわかってくれるはず・・・」は言い訳です。言葉にして、行動にして感謝しましょう。

 反対に「怒り」は、最初に手放すべき感情です。お釈迦様は「怒りは毒蛇の毒よりも、自分自身を傷つける」と教えて下さっています。人を傷つけるために発した言葉、怒りに突き動かされて発した言葉は、そのまま自分を毒していくでしょう。

 別れの言葉は丁寧に、愛情をこめて・・・これが後悔すくなく生きるコツの一つです。

◎今日の写真は洛北の大原で見た山茶花です。