慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

身近な人こそ、よく見ることが大切 -子供のうつ病を見逃さないで・・・

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 先日、新聞の折り込み広告に製薬会社が、子供のうつ病治療薬の治験者を探しているというものがありました。

 そのキャッチコピーは「気づいてあげて。こどものうつ」というものでした。この広告全体に流れているのは、「あなたは知らないかもしれませんが、子供もうつ病になることがありますよ。」というメッセージのように感じました。

 私が長く住んでいたカナダでは、子供、とりわけティーンエイジャーのうつ病は、それほど特殊なものとは考えられていませんでしたから、今回の広告に少し驚きました。もし、日本では子供でもうつ病になる可能性があるということが「常識」ではないとしたら、多くの子供たちの病が見逃されて重篤化していることが考えられますね。

 無暗な叱責や激励、「薬に頼るのは甘え」といったような無意味な精神論などで追い詰められていく病気の子供たちがいるのではと思うと、とても残念です。

 仏教では、「観察」をとても大切に考えています。わずかな変化も見逃さず、その原因を考察していくのが仏教の考え方です。それは、仏教がすべては縁によって起きると考えているからです。人間の暮らしの中で「不変の正解」などというものを仏教は認めません。状況はつねに変化しているので、結果も変わってくるからです。

 人間関係も常に変化しています。家族だから、身近だから、よく理解している・・・と考えると見落としがたくさん出てきます。人は自分の見たいものしか見えないという傾向が強いので、子供の変化にもかえって気が付かないことがあるのです。

 身近な人こそ、関心を持ち、しっかり見守ることが大切です。病気は早めに対処することが一番なのですから。

◎今日の写真は天橋立です。天から龍が降りてくる姿だそうです。