慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

移り変わるもの、壊れるものは苦である

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 英語を忘れたくなくて・・・というのを言い訳に・・・インターネットでアメリカのテレビ番組を見ることができるサイトと契約しました。一か月1000円ほどですが、私の贅沢の一つです。

 ここ数日、なんだかいろいろとくたびれてしまい、少しぼんやりと過ごしたくて、あるテレビ番組を4シーズン分次々と見てしまいました。

 毎週、少しずつ見ていれば、それほど感じなかったかもしれませんが、4年の時のながれを一挙に見てしまうと「残酷な現実」というのをまざまざと見てしまいます。

 それは登場人物の姿に現れる「時の流れ」です。子役が成長するのは当然ですが、主人公の俳優も女優も確実の歳をとる。仕事がら、見た目を維持するための努力は怠らないはずなのに・・・もちろん、その変化によって、より親しみやすく、美しくなる人もいるのですが、俳優にとって「老い」は多くの人たち以上に残酷なものになってしまうでしょう。

 仏教では全ての生きとし生けるものは「生老病死」から逃れることはできないと教えています。「諸行無常」・・・すべてのものは縁によって移ろい、変化し、壊れていきます。

 そして、移ろうもの、変化するものは「苦」ととらえるのが仏教の基本的なものの見方です。しかし、けして全てを否定的に見るのではありません。

 生老病死諸行無常の現実をしっかりと見つめ、むやみに抗うのではなく、仏さまがお示し下さった真理への道しるべととらえていきましょう。

 アンチエイジングに夢中になるよりも、自分の体をいたわり大切にしながら、他の人のためにできることを考える利他の暮らしを心がけていきたいものです。

 自分中心に「若さ」にしがみついていても、「老い」は必ずやってくる。自分の体を大切にするのは、利他の暮らしをおくるためと心を変えていけば、「老い」が教えてくれるものの豊かさにも気が付いていくことでしょう。

◎今日の写真はカナダの西海岸の風景です。