お釈迦さま開いた悟りの内容のお話を始めようとしたら、「家にいる時間が長くなったので、この際だからお釈迦様の生涯を学びなおしてみたい。どの本がおすすめですか?」という質問を受けました。
たしかに、一度、誕生から大涅槃まで、お釈迦様の生涯、とりわけ出家を決意するまでの生活を繰り返し振り返ってみるのは大切なことだと思います。
私のおすすめの本はいくつかありますが、読みやすいということでしたら、津田直子さんの『釈尊ものがたり』(大法輪閣)がおすすめです。この本は、『大法輪』という雑誌に連載されていたものをまとめたもので、南伝大蔵経に収められている『本生経』というお経を基に、お釈迦様の生涯を童話や説話のような語り口で述べたものです。
文章に品格があり、それでいてとても読みやすい。お釈迦様の日常の暮らしが生き生きと感じられます。
もう一冊はひろさちやさんの『釈迦』(春秋社)です。わたしはかならずしも、ひろさちやさんの愛読者というわけではありませんし、彼の解釈にところどころ疑問もあるのですが、「わかりやすく解説する」という意味では、とても才能のある方だと思います。かなり分厚い本ですが、すらすらと読めてしまします。
この二冊でお釈迦さまの生涯の流れを把握しておけば、いろいろなことが理解しやすくなると思います。
ところで、今朝のネットのニュースに、新型コロナウイルスの対応で、家族が家にいる時間が長く、顔を突き合わせている時間が増えると、そのストレスも大きく、家庭内暴力や子供の虐待などにつながる可能性が増えるという記事が出ていました。
自然の災害や、今回のような非常事態に直面すると、家族だけでなく、友人関係、ご近所、会社など、さまざまな人間関係の「真実の姿」が露わになってしまうことがしばしばあります。
仏教は「妄想をいだくな、幻想をいだくな、現実をしっかり見つめよ」と教えています。仮面や偽りの言葉で隠していたものが露わになったとき、大切なのは落ち着くことと、慈しみの気持ちを持つことです。それが難しいと感じたら、お寺においでください。静かな環境で、穏やかなお顔の、慈悲のかたまりといってよい仏様のお姿を拝んで下さい。心のざわめきが少しずつおだやかになっていくでしょう。
そして、下の記事にあるように、助けの手を伸ばしてくれる人は必ずいます。阿弥陀様のお慈悲は全ての人を照らしています。 www.msn.com