慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

大儀の為には犠牲は止むを得ない??大切なのは命か、国の威信か?

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日光の旧御用邸でみた明り取りの窓です

 仏教では「怒り」をしばしば毒蛇の毒に喩えます。心に怒りを抱いて行う行動は、まず本人を毒し、傷つけ、苦しめるのです。とりわけ僧侶は「怒らない、妬まない」が修行の大切な基本です。

 しかし、先月末にこのニュースを見て以来、私の心の中は怒りでいっぱいになってしまいました。

現役看護師が悲痛な叫び「命が救えなくなる!」組織委の〝五輪優先〟に医療現場は猛反発 (2021年4月27日) - エキサイトニュース (excite.co.jp)

 

 コロナ禍の問題が拡大する前から、医療現場、とりわけ看護士の方たちの逼迫した状況は繰り返し語られてきました。昨年以来、医療現場の「悲痛な叫び」はさらに強まっています。医療従事者の労働環境は苛酷さを増しているのに、病院の経営は落ち込み、ボーナスを削られた人もいるとか。

 家族を守るために、自宅に戻らないで仕事を続けている看護士もいると聞いています。そんな状況が一向に改善されそうもないのに、オリンピックを優先して看護師を手配するように要請するとは・・・・なんだか、第二次大戦の末期みたいな、「大儀のためには多少の犠牲は必要。国の威信のためなら、一般人の命が軽視されることになっても仕方がない」と政府やオリンピック組織委員会は考えているように思えてなりません。

 組織委の橋本聖子会長(56)は「世界が共通する課題に挑戦し、乗り越えていくヒントを世界に発信し、レガシーとして後世に残していくことが使命」と言っているそうですが、開催予定日のたった三ヶ月前にして、この惨状。いったいどこにコロナ禍を「乗り越えていくヒント」があるというのでしょう?

 ああ・・・書き始めたら、どんどん怒りが湧いてくるので、この辺でやめて起きます。医療現場の方々の負担が少しでも軽くなることを祈りつつ、まずは私自身が気をつけて健康でいることが第一だと思っています。