以前にも書きましたが、私の毎月の楽しみの一つが、定期購読している『月間住職』。寺院の住職を対象にした業界誌です。お寺の経営問題から、宗教的な議論、僧侶の犯罪問題まで、幅広いテーマを扱うなかなか興味深い雑誌です。
そろそろこの雑誌から執筆依頼が来てもいいのに・・・と、ちょっと思ったりしています(笑)
さて、今月のテーマのひとつが「お盆の時期」。お盆休みは8月13日から15日周辺ということになっているようですが、全国的にはかなり差があるのです。
お盆は『盂蘭盆経』というお経を根拠にした仏教行事ということになっていますが、中国の道教や儒教、そして日本古来の民俗的慣習とも深く結びついています。
『盂蘭盆経』によれば、7月15日は僧侶たちが集まって修行をする夏安居の最終日。この日僧侶たちは、夏安居の間の自分の行動や修行の状況について自ら反省を行います。この日に僧侶を供養することによって功徳を得る。その功徳を自分の父母や祖先に廻向することができるのです。
そうなると、「7月15日」というのがポイントになります。実は道教でも7月15日は重要な日です。道教では一年を三つに大きく区分しますが、そのうち「中元」に当たるのが7月15日なのです。この日には、祖先の霊が戻ってくる日として霊魂の供養を行う重要な日です。
この日付で大事なのは、すべて太陰暦、つまり月の運行に基づいた暦だということです。各月の15日は必ず満月ということになります。
ですから、本来のお盆は太陰暦(旧暦)の15日を中心にした行事です。今私たちが使っている太陽暦で7月15日とか8月15日とかするのは、厳密に考えれば間違っていることになります。
太陰暦の7月15日にこだわるなら、お盆の日は太陽暦のカレンダー上は毎年違った日になります。今年は8月22日が旧暦の7月15日です。
経典に基づいたお盆の供養をしたい方は、ぜひ22日を考慮してください。実際、沖縄など太陰暦に基づいた慣習を大事にしている地域では、旧暦の7月15日を中心にお盆の行事を行っています。