慈雲寺は浄土宗の西山派(西山浄土宗)に属するお寺ですが、伝統的な意味での檀家はゼロなので、いわゆる「村のお寺の僧侶」として色々な方のご相談を受けます。
これは、住職としての喜びのひとつ。相談を受けても十分な解決法を示すことができない場合も多いですが、一緒に考えたり、悩んだりするうちに、たいていのことは光が見えてくるものです。
さて、先日のお寺にいらしたAさんのご相談は、お位牌についてでした。A家は禅宗の檀家さんです。最近、まだ60代だったご主人を亡くされて、まだまだ寂しさや悲しさが癒えない様子でした。
「毎朝仏壇にお供えをして、下手ながらもお経をあげているのですが・・・目の前の主人の位牌がどうもしっくりこないのです・・・」というのです。
ご主人のお位牌は幅の広い立派なものです。夫婦二人用かな?と思うほどの幅なのが少し気になりますが、戒名がとても威厳のあるものなので、私の目からは不自然には思えませんでした。
「お舅さん、お姑さんは二人で一つのお位牌なのに、主人と私が別々な位牌なのは、なんだか寂しいという気持ちが強くなってきたんです。」とAさん。
「突然夫を失って呆然としているうちに葬儀が進み、葬儀会館の担当者がお位牌のことも強く勧めてきたので、言われるままに決めてしまった・・・49日の法要までに位牌を作らなければと焦っていたのは事実だけれど、最終的に決めたのは私。
でも、なんだか違和感があって・・・」とAさんの相談は続きます。
Aさんは、できれば夫婦二人用の位牌を作り直したいのだが、やっても良いのか?と聞きたいようでした。
位牌については、それぞれの宗派はお寺、住職の考えもあるでしょうから、本来は菩提寺の住職と相談すべきことでしょう。しかし、A家の菩提寺は大きなお寺で御住職はいつでも忙しいらしく、なかなか相談しにくいそうです。
結論からいうと、お位牌を作り直すことは可能です。古くなって字が見にくくなったり、壊れたりして作り直すことはよくあります。また、お位牌がたくさんになって、仏壇に収まりきらなくなったら、大きな位牌にまとめてという場合もありますから・・・
では、位牌とはいったいなんなのかから、改めて考えてみましょう(つづく)