慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

2月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は2月25日(日)10時より行います。テーマは「法然上人が開いた浄土門とは何か」です。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

怨みを捨ててこそ怨みは止む・・・9.11から20年の日に思う

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アフガニスタンは、もともとシルクロードの要所として、仏教も盛んな美しい国でした。



 昨日の9月11日は、米中枢同時テロが起きてから20年を迎える日でした。あれからさらに激しくなった米国による「対テロ戦争」は、100万人以上の死者を出しても、結局成果(アメリカが考える成果)のないままです。

 お釈迦様は『ダンマパタ』という原始経典の中で「この世において、怨みを以って怨みに報いれば、怨みは決して止むことはない。怨みを捨ててこそ怨みは止む。これは永遠の真理である。」

 テロを止めさせたければ、爆撃で人々を追い詰めるのではなく、人々が穏やかに生きていかれるように援助すべきでしょう。その国のことは、その国民が決めるべきで、外国の価値観を押し付けても結局、誰も幸せにならない。

 

 あれから20年か・・・と昨日は一日、心の重みに打ちのめされたような気持ちになりました。9.11で生活に大きな変化があった人は世界中にたくさんいることでしょうが、実は私も少なからぬ影響を受けました。

 

 あの日、私はカリフォルニア州の取材に出かけていて、パームスプリングスに滞在していました。贅沢なリゾートホテルとテレビから流れるニュースの違和感と居心地の悪さが強く印象に残っています。

 翌日はディズニーランドの取材でした。世界貿易センターペンタゴンアメリカの「象徴」が標的になったなら、次はディズニーランドの可能性も高いのではという考えも浮かんできましたが、問い合わせると11日は休園するが、12日からは営業するとのことでした。

 こんなときに「世界で一番幸せな場所」という幻想に浸りたい人がいるのかなぁ?そこにのこのこ取材に行く自分もなんだかなぁ・・・

 

 パームスプリングスからLAまでの長いドライブの間、ラジオを聴いていたら、次々と一般の人がラジオ局への電話で「ご意見」を述べていました。ごく一般的な人たちだと思えるのですが、興奮した声で、なんとも乱暴なことを言い募る人ばかりです。

 「核兵器を使って、アフガンもイラクも徹底的に破壊しろ!日本のカミカゼだって原爆で黙ったぞ!」なんて声も聞こえてきました。

 米国の中でも比較的リベラルな人が多いといわれるカリフォルニアですら、こんな論調だったのですから、保守派、いわゆる「愛国派」の人が多い地域はどんなだったでしょう。

 

 その放送を聴いているうちに、日本の出版社からアメリカやカナダの旅行ガイド本を出してもらっていた私の仕事も崩壊していくのを感じました。

 北米への日本からの旅行客はこれで激減するでしょうし、「旅行ガイド本」自体がネットの情報に押されて販売数が急激に減るであろうことが容易に想像できたからです。

 そして、その予測は数ヶ月もしないうちに現実となったのです。

 

 旅行ガイド本のライターとしては、ほぼ失業状態となりました。もう、一人のライターが丁寧に取材をして本にまとめるなどという、コストも時間もかかるやり方は時代遅れになってしまったのです。

 おそらく私は海外旅行のガイド本の単独ライターとしては、最後の人になってしまったようです。

 

 しかし、そのきっかけがなかったら、私は桶狭間のお寺の住職になっていたかどうかわかりません。万事、阿弥陀さんとのご縁だったのでしょう。不思議なことです。

 

 9.11の犠牲者のかたがたの供養をさせていただきながら、アメリカの人々が、「被害者」としての自分たちのことばかりでなく、自分たちが「加害者」でもあること、アフガンの人々の爆撃を受ける悲しみ、痛みにも想像をめぐらせてほしいと祈っていました。