慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

10月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、10月27日(日)10時より行います。テーマは「行きつけのお寺の見つけ方」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

「極楽」知られなさ過ぎ?!!

慈雲寺の阿弥陀様です。この阿弥陀様が今まさに私たちのためにお説教をして下さっている仏国土が「極楽」です!

 

 

(446) じぃじが地獄に行くので皆で送り出した朝の様子 - YouTube

 

 まずは上に挙げたユーチューブの動画をご覧下さい。このごろテレビでも紹介されて、なかなかの話題になった、”ゆうくん”という恐ろしく語彙力のある二歳児とその祖父との会話です。

 どうやらじぃじは箱根(?)の地獄谷周辺にハイキングに行くらしい。えんま様のことが話題になっているので、明らかに仏教的な地獄のことを言っているらしいのですが、地獄と反対のものとして、ゆうくんの母親は「天国」という言葉を使っています。どうやら母親だけでなく、祖父母もそのことを疑問には思っていないらしい。

 ゆうくんの家族は、この子供の語学的発達の急速さをとても楽しんでいるようで、幼児語などはあまり使わず、大人の言葉をどんどん与えています。

 でも、仏教的な地獄なら、対極にあるのは「お浄土」、できれば「極楽」と教えてやって欲しいなぁ・・・

 

 また、先日、ある葬儀会館で行われたお通夜に参列した時、その会館のロビーで会員募集の広告が張り出されているのを見ました。

 広告には葬儀の祭壇と、周辺には供花の写真。供花には送り主からのメッセージが添えられていました。

 祭壇には故人の写真(ぼかし入り)と阿弥陀仏と思われる仏画が飾られていました。明らかに仏式の葬礼のしつらえです。ところが供花のメッセージは、どうやら故人の孫(?)からのようで、「おじいさん、天国で楽しく暮らしてね」とありました。

 この「天国」というメッセージが仏式の葬儀にふさわしくないと、広告を制作したデザイナーや代理店、葬儀会館の発注者の誰も思わなかったということでしょうか?

 う~~~ん・・・子供だから「極楽」や「お浄土」より、「天国」の方が自然という判断でしょうかね???

 

 いずれにしても、お浄土や極楽というイメージが、もう日常生活の中になくなりつつあるのでしょうか?地獄や閻魔様はまだパワーがあるようなのに・・・・

 日本のキリスト教徒は5%以下と言われているのに、天国の方が身近な言葉なのはなぜ?

 天国の方がおしゃれ?それとも曖昧さがかえって良い?

 

 う~~ん・・・どちらにしても、私たち浄土教の僧侶が極楽の美しさ、穏やかさ、すばらしさをもっと伝えないとなぁ。

 今年はお盆の時期も當麻曼荼羅観無量寿経に説かれた極楽の様子を描いた曼荼羅)をご開帳しようかなぁ・・・・