慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

宗教団体と「寄付」の問題 Part 1

 

白鷺のような優雅な美しさと讃えられる姫路城

 安部元首相の事件以来、さまざまな角度から報道がなされています。とりわけ犯人の動機について、多くの報道がなされていることに注目しています。

 前回も書きましたように、仏教はいかなる理由があろうとも、自己の怒りを「暴力」という形で放出することを認めていません。厳しく戒めています。ですから、犯人の動機がいかなるものであれ、そして安部氏がどのような人であったにせよ、暴力を肯定できるものではありません。安部氏の「自業自得」という発言に組するべきではないでしょう。

 

 しかし、「(犯人の)母親が統一教会系の宗教団体に多額を寄付をし、それによって家庭が崩壊したことを恨んでいた」という犯人の発言は非常に興味深いものです。

 安部氏、そして自民党などの多くの政治家と統一教会との深い関係は、安部氏の祖父である岸信介氏の時代から始まっており、私は「誰でも知っていること」だと思っていました。ですから、安部氏は教団とは無関係であるとか、犯人の「思い込み」という報道に驚きました。

 だいぶ以前にこのブログにも書きましたが、自民党議員の選挙(その時は都議会議員戦でした)の応援に、異様な熱意で取り組んでいるグループがあり、それが統一教会の信者だったということを身近で目撃したころがあります。あの人たちは、あれから50年の歳月が流れ、どうしているのでしょうか?今の気持ちを聞いてみたい気もします。

 

 また、今回の事件では、宗教教団による寄付金の問題が大きく取り上げられています。犯人の母親は家を売り、破産宣告を受けても寄付をやめることはなかったようです。

 カルトと呼ばれる宗教団体であろうと、伝統的な宗派であろうと、教団の維持には信徒の寄付、御供えをかかすことはできません。寄付(お布施など)の意義を伝え、教会やお寺の維持、布教の経費などをどう集めるかは、僧侶や牧師などの宗教者にとって、重要な問題ですし、けして簡単なことではありません。

 

 インターネットで今回の事件について資料を探していたら、↓のようなコメントを目にしました。

 

◎要求せんでもいっぱい貢いだ奴ほど偉いシステムを確立しちゃえばいいだけだし
思考停止レベルまでのめり込ませれば自主的に(ここ重要)全財産差し出させるくらい
造作もないこと
権力者は宗教を支配の道具に使い末端信者は宗教を現実逃避の道具に使う
これは宗教の歴史そのものだわな+
◎破産するまでお布施させる魅力ってどんなだ?
-----------------------------
↑ そりゃ洗脳だよ。
魅力じゃなくて思い込みと恐怖で支配すんの。

 

 「洗脳」は今回の事件のキーワードかもしれません。ユーチューブには1990年代の統一教会による「洗脳」の様子を移した動画がアップされていました。

(573) How a cult collect money - YouTube

 

 いや、迫力あるなぁ。この宣教師も通訳の人も・・・この人たちが今どうしているのかすごく興味がある。

 

 伝統宗派の人たちは今回の事件について「カルトの関係者の暴走」と言うでしょうが、寄付やお布施を集めるという点については目を背けることができない共通問題があるわけで、他人事ではすまないでしょう。(つづく)