慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

兵士の子供たちの体験も記録に Part2

慈雲寺で初めて咲いたスイレンです。売れ残りの株を買ってきたので、開花するか心配でしたが、しっかり花開いてくれました。極楽の蓮を連想して楽しくなります。

 

 第二次大戦に下級将校として参戦した父は、心に深い傷を抱えて生きていたと思われます。今ならPTSDと認定されたかもしれません。

 彼の心の「深淵」は、妻や子供たちにも少なからぬ影響を与えたはずです。私は父に心を開いてもらえなかったと悩み、父を理解することの難しさに悩みました。

 このように、兵士が戦場から抱えてくるものは、本人はもちろん、家族や次世代にまで大きな影響を与えていると思います。

 たとえ戦争という「大義名分」があったにせよ、私の親世代の多くが人を殺した経験を持っているのですから・・・・もし、まったく影響されず、平気な人がいたとしたら、それはそれで問題でしょう。

 

 その兵士の子供たちでわる私たちも老年となりました。私たちも「帰還兵」との生活体験を語り継いでいくべきだと思います。今記録に残しておかないと、戦争が長く長く影響を及ぼすことが見落とされてしまうことになるでしょう。

 

 団塊の世代の皆さん、どうぞ兵士だった父や集団疎開を経験した母親、入植地からの帰還など、さまざまな経験を家族でどう共有してきたのか、自分の親世代の心の中に残されている「戦争体験」の思い出をぜひ記録して下さい。

 

 戦争は世代を超えて、長く長く人々の暮らしと心をむしばむものです。今日本は再び「戦争のできる国」になりつつあるようです。

 仏教はどのような大義名分があろうと、殺生を厳しく戒めています。「人殺し」の業の深さ、恐ろしさも繰り返し説いています。