今日、9月20日は「秋彼岸の入り」です。秋分の日(23日)を中心に、前後3日ずつ、1週間をお彼岸としています。
名古屋は台風の影響がまだ残っていて、時折強い風が吹いていますが、慈雲寺の裏手の墓地からはお墓参りの方々の声が聞こえてきます。
お彼岸は日本独自の仏教行事。春分の日と秋分の日は、太陽が真東から昇り、真西に沈む日です。浄土教の教えでは、極楽浄土は西方にあるとされており、真西に沈む太陽がお浄土をより近くに感じさせてくれるのか、春分、秋分の日は「この世が極楽に一番近くなる日」と言い伝えられています。
多くのお寺では、お彼岸の期間中に特別の彼岸法要を行い、六波羅蜜という修行法についての教えなどが説かれています。
浄土教の教えでは、この世とお浄土との隔たりをしばしば「河」に譬えます。私たちが今生きているこのよは「此岸」(こちら岸)、お浄土は「彼岸」(あちら岸)と表現されます。
中国の浄土教を確立し、法然房源空(法然上人)を始め、日本の浄土思想に最も大きな影響を与えた善導大師は、『観無量寿経』を解説した『観経疏』という書物の中で、この「河」について述べています。
此岸と彼岸を分ける河は二つあって、一つには怒りと憎しみが燃え盛る炎の河。もう一つは貪りの波が渦を巻く水の河です。二つの河の間には、幅20センチほどの白い道が通っています。
二つの河は底なしの深い河ですが、実は川幅は「百歩」、せいぜい50メートルほどだというのです。白い道を歩んでいけば、此岸から彼岸までは、ほんの百歩ほど。お浄土は、此岸のすぐ近くにあるのですね。
この白い道こそ、お念仏の道です。一見、狭そうですが、お釈迦様がお示しになり、阿弥陀様が向こう岸から迎えて下さっているのですから、安心して歩いていけますね。