慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

大掃除をしていたら空海さま登場! Part 1

 慈雲寺の大掃除は続行中です。一昨日からなんとも強力な助っ人まで現われて本当にありがたく思っているところです。それでも年内に終わるかなぁ~~~(泣)

 ところで、寺務室の片づけをしていたら、空海さまのお言葉を集めた本が出てきました。古本屋さんはアマゾンなどで、どんどん仏教関係の本を買っていた時があるのですが、あまりに手当たりしだいに買ったので、入手したこと自体を忘れている本も少なくありません。

 この空海さま関連の本は、おそらく弘法大師の御縁日の法要の時に、皆さんに空海さまのお話をしようと入手したのでしょう。たぶん、一回か二回使っただけで行方不明になっていた・・・本当にもったいないことです。

 本のタイトルは『空海 人生の言葉』です。川辺秀美という方が、空海さまの著作の中から教えの中核となるような言葉を選び、現代語に翻訳しています。川辺さんの翻訳は品格がありながら、柔らかで、空海さまのお人柄を良く伝えているように思います。

原文もついていますし、難しい読み方の字にはふりがなもついていて、なんともありがたい本です。

 例えば、人間の心について空海さまはこんなことをおっしゃっています。

 

「心病衆しといえどもその本は唯一つのみ。いわゆる無明これなり」(秘密曼荼羅十住心論)

「心に関する悩みは多いといっても、その根源はただ一つしかありません。

 無明です。つまり私たちは何の明かりも燈さずに道をあるいている、無知な存在なのです。」

 

 無明は私たちのかかえる「苦」の根源だと仏教では教えています。これを「何の明かりも燈さずに道をあるいている」状態と訳すのには議論もあることでしょうが、すっきりした譬えだと思います。

 

 この本の冒頭には、仏教の基本的なものの見方や空海さまの教えの基本はわかりやすく説明された「解説」部分もあります。大掃除が一息ついたら、じっくり読んでみたいと思います。