
高野山では、一般の方が参加できる「宗教体験」がたくさんあります。宿坊での朝の勤行に参列することから、数珠作り、七福神巡りまで、種類も豊富。
今回、最も私の心に深い印象を残してくれた体験は、大師教会で行われている「授戒会」です。受戒とは、仏のお示しになった戒めの教えを授かるものです。
「授戒」には、いくつかの段階があり、宗派によっても違いがありますが、今回は「菩薩十善戒」と呼ばれる十箇条の戒を授けていただきました。これは仏教徒として生きることを決意し、菩薩の道を歩もうと志す者が守るべき、最も基本的な「戒」です。
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不殺生(生き物を殺さないこと)
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不偸盗(盗まないこと)
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不邪淫(不適切な性行為をしないこと)
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不妄語(嘘をつかないこと)
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不綺語(無駄な言葉を使わないこと)
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不悪口(悪口を言わないこと)
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不両舌(二枚舌を使わないこと)
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不慳貪(貪欲にならないこと)
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不瞋恚(怒りを持たないこと)
もちろん、私はすでに菩薩戒は西山浄土宗で授けられていますが、高野山という特別な場で、決意を新たにしたかったのです。
この「授戒」が行われる大師教会は、真言宗の教えを広めるための布教の拠点です。建物の一番奥にある授戒堂へ入ると、堂内は暗闇。仏前の蝋燭だけが柔らかな光を放っています。
戒を授けて下さる阿闍梨様が、薄闇の中から現れ、静かに仏教徒として生きる心構え、戒を保っての暮らし方についてお話していただきます。その静かなお声だけが耳に響き、心が静まっていくのを感じます。心が素直になって、戒めの一つ一つが、ゆっくりと刻まれていくような心地でした。
最後に阿闍梨様から、菩薩戒を受けた者としての印である「菩薩戒牒」を授けていただきました。
実際には30分足らずの短い儀式たったのですが、「高野山にお参りさせていただいて良かった」と、特別な嬉しさでゆったりと心が満たされた「宗教体験」でした。
授戒は、朝9時から16時まで、一日に何度も行われています。大師教会で当日に申し込むことが可能です。(有料)