慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

お坊さん派遣株式会社?!(Part1)

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先日新聞を整理していたら「お坊さんを紹介する会社」の広告が出ていました。1万円の入会金を払うと、お通夜や葬儀に僧侶を派遣してくれるのだそうです。

 まず目を引いたのが「株式会社」を強調しているところです。その会社のウエブサイトも見てみましたが、なかなかスッキリしたデザイン。戒名”料金”、読経”料金”もすべて”明朗会計”を強調していました。

  イオンが葬儀”業界”に参入して”明朗会計”を強調したり、僧侶を葬儀場に紹介してもらったりすることは、これまでも行われていましたから、この広告の内容自体にはそれほど驚きはしませんでした。いや、かなり哀しい気持ちにはなりましたが・・・・

 驚いたのは、この広告が僧侶に向けても発信していたからです。「こんな方におすすめ」というリストには「お寺と付き合いが無い方、お葬式のことで悩みがある方」というリストに続き、「檀家離れでお困りの寺院、法務が減少している僧侶」におすすめとあるのです。この項目には胸を打たれました。

 檀家離れに苦慮していたり、法務が少なくなったら、派遣会社に登録して見ず知らずの方の葬儀に出かける・・・・檀家離れの解決策として、これしかないと思う僧侶の気持ちというのはどういうものなのでしょうか?家族を養い、寺院の維持のためには仕方がない・・・という苦渋の決断でしょうか?

 今までも、いわゆる「マンション坊主」と呼ばれる人たちがいることは知っていました。寺院に住まず、都会のマンションで葬儀会館から呼ばれるのを待っている僧侶たちのことです。

 私も通訳や旅行ライターの仕事を続けていくことで私個人の生活を維持しています。他人事ではありません。しかし、あの広告を見て「私も派遣会社に登録してみようかな」と悩んでいる僧侶がいると思うと、とても哀しいし、過重に葬儀に依存している今の寺院の状況をどうしていくのかは、仏教界全体の問題だと思います。

●今日の写真はカナダのバンクーバーで見たベンチです。