
今、私たちは日本の歴史史上初めてと言っても良いような重要な局面に直面していると思います。さまざまな異文化・異宗教文化と共存せざるを得ない状況に突入しているからです。とりわけ、他の宗教との融和性の低い宗教との共存が問題になるでしょう。
例えば、最近話題になっている「土葬」の問題です。イスラム教徒や一部のキリスト教徒など、いくつかの宗教では遺体の埋葬は土葬と決められています。これは、それぞれの宗教の「聖典」などによって決められたもので、つまり「神との契約」なのです。
イスラム教徒にとっては、遺骸を火葬されてしまったら、遺骸の尊厳を損壊され、来世への移行のために決定的な障害になってしまうのです。
現在、日本では「火葬が法律で決められているから」という理由で土葬を拒否される場合が多いようです。厳密には、土葬を禁ずる法律はないのですが・・・・
土葬を受け入れている墓地はとても少ないですが、日本には現在35万人のイスラム教徒がいるのです。
火葬を禁忌とする宗教の信徒はこれからも増えていくでしょう。この人たちにとって、「来世」の問題は極めて深刻なのです。神との契約でもあるからです。
食べ物の禁忌も簡単ではありません。食べ物の禁忌がほとんどない私たちの日常では、想像すらできないかもしれません。
「少しぐらいいいでしょ?」なんて考えはけしてすべきではありません。これも神からの命令への反逆であり、来世は永遠の苦悩の地への転落を意味するからです。
少し前に問題になった輸血の問題も同じです。聖書に「他者からの血を体に入れてはいけない」と示されているという解釈に従う人々にとって、輸血は地獄への転落を意味するからです。
もちろん、私はこの信仰を受け入れることはできませんが、無理やり彼らの信仰を踏みにじって輸血を強行することにも、賛成するのは難しく思えるのです。
私は、カナダで体験したように、全ての文化的背景、信仰を持つ人々が共存していかれる社会が理想だと思います。しかし、これは私たちの想像を超えるほど困難なものだと思えます。
私たちは異文化・異宗教文化を持つ人々との共存せざるを得ない状況に向かっています。まずは、世界の宗教文化に関心を持ち、正確な知識を持つことが大切です。
世界のさまざまな宗教について学ぶ、比較宗教学はとても面白い学問です。良い入門書もたくさんありますから、ぜひ数冊読んでみることをおすすめします。