慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

明けましておめでとうございます。

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 今、修正会を終えて、庫裏へ戻ってきました。ご近所の大きなお寺では、まだ除夜の鐘が続いているようです・・・もう年は明けてますけど・・・

 今夜は風もなく穏やかだったので、参道にキャンドルライトを灯すことができました。慈雲寺へ赴任してから三回目の新年ですが、昨年までは風が強くてロウソクはアッと言う間に消えてしまっていました。

 今年はとても綺麗に小さな灯りが境内に点在して・・・う~~ん・・・もっとたくさん並べたかった!

 10人ほどの方がお参りに来てくださいました。賑やかな社寺で初詣も良いでしょうが、こんな風に顔なじみの方々と一緒に穏やかに新年を迎えるのも楽しいですね。

 お茶を飲んで少しおしゃべりして解散・・・でも、今、本堂で一人写経をしている方がいます。こんな風に自由にしていただけるのも嬉しいことです。

 今年もぽつぽつと慈雲寺の日々の暮らしや、お釈迦様、法然上人、証空上人の御教えなどについて書いていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

◎今日の写真はウズベキスタンで出会った釈迦とその弟子たちの像です。三蔵法師玄奘もこの像が発掘されたテルメズの寺院を訪れていますから、この美しいお釈迦様を拝んだかもしれませんね。

一年を締めくくり、新な年を静かなお寺で迎えませんか?修正会は深夜11時50分からです。

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 熱田神宮を始め、名古屋周辺にも初詣で大賑わいの社寺はたくさんあることでしょう。

 しかし、慈雲寺は静かな年の瀬を迎えています。初詣においでになる方も多くはないと思いますので、本堂や境内の掃除をEさんに助けていただきながら少ししただけで、特別な用意はしません。しかし、大晦日の深夜には11時50分から修正会という短い法要をして、一年の心の荷物を静かにいったん降ろし、新たな年を穏やかに迎える準備をいたします。

 宗派にかかわらず、静かに年越しをしたいという方はどなたでも歓迎いたします。

 熱いお茶やお菓子もご用意いたしますので、ゆったりと本堂で寛いでくださいませ。

◎今日の写真はウズベキスタン国立博物館で見た小さな彫像です。どことなくギリシャ彫刻の影響を感じますね。これもシルクロードを遠く旅してきたのでしょうか?

美味しく食べることより写真を撮ることの方が大事?!

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 このところ、テレビをつけながら部屋の片づけをしています。黙々とやっていると何だか哀しくなってしまうので・・・・昼間の番組でよく出てくるのが、いわゆる「行列のできる店」の紹介。長時間待って、ようやくお目当ての料理が出てきたのに、すぐ食べ始める人は少なく、皆、いっせいにスマホを出して撮影を始めています。

 どうやら、インスタグラムやツイッターに「今、話題のお店で食事してま~~す!」とアッピールしているらしい。う~~ん・・アツアツの美味しいところを食べることより、長時間並んで貴重な(?)食事をしようとしている私を見て!!ということが大事なのかしらん??

 私は今も細々と旅行ライターの仕事をしていますが、カナダに住んでいた時は、北米の旅行ガイド本を書く仕事が生活の中心でした。毎年250日以上、ホテルで暮らして、毎日、毎日外食・・・・事前にアレンジしないレストランの場合、出てきた料理の写真を撮るのが本当に苦手でした。今の日本のように誰もが料理の写真を撮ったりしませんから、他のお客からは冷たい目で見られるし・・・嫌がるお店も多かったし・・・思い出すだけでゲッソリ。

 今、月刊『旅行読売』で連載させていただいている記事は、御利益で知られる社寺の紹介なので、料理の紹介は無し。とてものびのびと取材させていただいています。

 それにしても、料理が冷めてしまうのもかまわず写真を撮り続けることに夢中になるなんて・・・本末転倒ですよね。その食事が「自慢」のためのものだけなら、なんとも哀しいことのように思えます。

 食事は他の生物の命をいただくのですし、料理人やサービスをしてくれる人の思いもいただくのですから、敬意を忘れてはいけないと思います。ゆっくり味わっていただくことが大切ですよね。

◎今日の写真はウズベキスタンの取材で撮影したお料理の写真です。

弘法大師のお言葉

弘法大師空海のお言葉

衆生の解脱せざるは、

ただ名利を貪るによる。

己の心を他に従へんと欲はず

ただ他を己に従へんと欲う。」

 

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 慈雲寺は浄土宗の西山派(西山浄土宗)に属しています。当然、御本尊は阿弥陀如来なのですが、脇壇には弘法大師空海さまのお像もお祀りされています。

 今は名古屋市緑区に属していますが、もともと慈雲寺の周辺は知多郡、つまり知多四国八十八か所で知られる知多半島の付け根に位置しているのです。知多半島のお大師信仰の宗教文化圏に属していると言えるでしょう。慈雲寺のお大師さまも、もともとは近隣の庵に祀られていたものをお預かりしているそうです。

 真言宗の教えについては、仏教史の授業を受けたときに、ごくごく簡単な説明を受けただけです。また、あちこちのお寺で「弘法大師が祈祷したら湧いてきたお水」とか「お大師さまに願ったら病気が治った」などという由緒書を読んだことはありますが、実際にが語った言葉というのは、ほとんど知りませんでした。

 12月と1月には弘法大師のお縁日に、お大師様のことをお話しするので、その準備のために何か良い本はないかと栄の本屋さんをうろうろしていたら、何か後ろから視線みたいなものを感じて、フッと振り返ったら、なんと!『空海 人生の言葉』という本が目の前に!

 弘法大師の代表的な著作の中から、短い原文を引用し、それにやさしい現代語訳を川辺秀美とい人がつけたものです。あえて解説は書かれていませんが、現代語はかなり意味をくだいて伝えるものになっています。

 冒頭のお大師さまのお言葉の現代語訳は

「あなたが泥沼から這い出させないのは

ひたすら地位や利益を貪っているから。

他人のために生きようとは考えず

ただ自分が得をすることばかり。」

 善を為し、悪を止め、他の人の為になることをする・・・この三つは仏教徒の生き方の基本ですね。

◎今日の写真はカナダの代表的なワインの産地、オカナガンのワイナリーです。寒い夜は、こんな明るい陽射しが懐かしいですね。

 

 

 

祥月命日はお寺へお参りしてはいかがでしょう?

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 先日、Tさんご夫婦が慈雲寺を訪ねてくださいました。

「今日は母の祥月命日なのですが、もし庵主様にお時間があるなら、お経をあげてくださいませんか?」とおっしゃいます。

 Tさんは、昨日、急にお母さまの命日のことを思い出し、天気が良いので散歩がてらお寺参りにいらしたそうです。事前に連絡せずに訪ねてこられたことを恐縮されていましたが、私の方はこんな「気まぐれ」は大歓迎です!

 私が他出していたり、他の法事などがある時でしたら、困りますが、これもご縁。もちろん、事前にご連絡いただければ、霊前にお供えるすお膳なども用意できますが、回向もお墓参りも、思い立ったときが一番良いタイミングです。年忌法要の習慣は、一応のめやすなのですから・・・

 読経が終わると、Tさんご夫妻は、なんだかスッキリしたお顔になり、「これで気持ち良く新年が迎えられそうです。」と笑顔でした。私の方もとても嬉しい心持になりました。

 毎月の月参り、お墓での読経などをご希望の方は、どうぞお気軽にお声がけください。またTさんのように、お寺での読経もいたします。その際は、回向をする方の俗名、戒名、命日を書いたものをお持ちになるか、お位牌や過去帳をお持ちください。

◎今日の写真は近江八幡のかつての豪商の自宅の庭園です。縁側に座って、しばらくのんびり眺めていました。

 

 

映像は、時の流れを時には「残酷」に映し出す

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今日の「お釈迦様の言葉」

 この世は泡沫のごとしと見よ

 この世は陽炎のごとしと見よ

 このように世を見る人を

 死王が見つけることはない (法句経より)

 

 このごろ、huluというインターネットの有料番組を契約しました。英語を忘れないように、アメリカや英国のテレビドラマを見ようと思ったからです。そのおかげで、何年も続いているドラマ・シリーズを一挙に見ることができるようになりました。

 5シーズン分ぐらいを続けて見ていると、私にとっては数か月もしないうちに、テレビの中の俳優たちにとっては5年の時間が流れていくのです。当然のことではあるのですが、5年という時間は「無常」そのものです。容姿、とりわけ若さを保つことに時間もお金も努力もたっぷり使っているであろう俳優たちでさえ、かなりはっきりした違いが見えてきます。体形が大きく変わってしまう人もいますし、次のシーズンになったら、いきなり「若者」から「中年」になっていたしともいます。

 上手に歳をとっていくのは、なかなか難しいことのようです。若さを保つのに必死になるより、経験や思考の深まりが外見に現れてくるような歳の取り方をする俳優もいます。

 ときの流れは「残酷」だと、良く言われますが、それは「若い」ことにしか価値を見出せないときの話です。無常であることを知れば、時のながれによって豊かになるものに気が付くことでしょう。変化はけして悪いことではないのですから・・・

◎今日の写真は和歌山市で見た住宅です。純粋な和風建築の邸宅の裏に、何やら不思議な洋館がありました。思わず、バスを降りて写真を撮ってしまいました。この建物は朝間氏の邸宅で昭和3年に建てられました。詳しくは

http://www.wakayama-aba.jp/isan_meguri/62.html をご覧ください。

和歌山市は第二次大戦の時に爆撃にあっているので、古い建物はあまり残っていないようなのですが、ところどころに私好みの和風洋館があってワクワクしてしまいます。

 

一年の締めくくりをお寺で過ごしませんか?修正会のおさそい。

お釈迦さまのお言葉

「重い荷物を捨てた後には、荷物をさらに引き受けることは最上の苦しみである。

荷物を投げ捨てることは楽しい。」(ウダーナヴァルガより)

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 もう2016年もあと一週間となりました。一年のうちに心に背負ってしまった、さまざまな「荷物」をいったん降ろしてみませんか?

 大晦日の23時50分から修正会をいたします。

 これは、一年の自らの過ごし方を振り返り、新たな気持ちで新年を迎えるための法要です。慈雲寺には鐘はありませんが、キンスを静かに打って煩悩を一つ一つ消していきましょう。

 風が強くなければ、境内にロウソクの灯りを灯します。

 大きな社寺でたくさんの人々と賑やかに初詣をするのも良いことですが、静かに一年を振り返ってみたいと思われる方は、ぜひ慈雲寺にお参りください。どなたでも歓迎いたします。

 なお、修正会の後も本堂でお参りしていただけます。温かいお茶も御用意いたします。

 

◎今日の写真は近江八幡に残る、かつての豪商の店先の様子です。近江八幡は有名な近江商人の中心地のひとつでした。