日照時間が短くなったせいか、このところ少々鬱気味でブログを更新する元気がありませんでした。こんな時は、推理小説などを読みながらボーっとするのが私の過ごし方です。
先日、カルチャーセンターの講師のお仕事をした後、会場のすぐお隣にある「鶴亀2号」というヘンテコな名前の古本屋で、『笑う警官』(角川文庫)という文庫本を何気なく買ったのを思い出して読み始めました。
この本はスウェーデンの首都ストックホルムの警察を舞台にした小説。マイ・シューヴァルとペール・ヴァールーという夫妻の共著で、どうやら主人公の刑事マルティン・ベックのシリーズの一つのようです。
北欧の刑事小説など読むのは初めて。ストックホルムには飛行機の乗り換えで数時間町を歩いたことがあるだけで、ほとんど知らない土地。人の名前も道路や地名もすんなり頭に入ってきません。でも、とても面白かった!
私はエド・マックベインの87分署シリーズのように、刑事たちがコツコツ捜査と推理を積み重ね、何度も失敗しながら事件を解決していく小説が大好きです。マックベインの小説で英語を勉強したと言っても良いほど。
今回の『笑う警官』も、87分署シリーズとよく似ていて、いろいろ個人的な問題を抱えた刑事たちが、ストックホルムでおきた大量殺人事件を解決していく物語です。そのじわじわと犯人に迫っていく感じがワクワクします。そして陰鬱な北欧の雰囲気も良く描写されていて、鬱気味の私にかえってぴったりでした。こんな気分の時に、カルフォルニアやフロリダの陽気な探偵の話は読みたくない!
もちろん、小説の中の殺人事件は架空のものですが、人間の欲望が生み出すなんとも醜い行動は仏教が繰り返し警告しているものです。執着が生み出す怒りの感情のパワーに翻弄された犯人の姿が強く心に残りました。おすすめの小説です。