前回のブログで「夏休みに子供英語会をいたします。」と書きましたが、英語(外国語)学習に関して自分がどう考えているのか、少しお話ししたいと思います。
夏休みが近づくと新聞のちらしなどに、「これからは国際社会。英語が大事!」とまるで脅かすように書かれているものがしばしば見られます。
英語(外国語)は確かに“便利”ではありますが、あくまでも”道具”。大事なのは母国語です。母国語は文化の基本であり、”自己”を築くためのほぼ唯一と言って良い栄養です。
自分の母国語で豊かに(そして自由に)自己表現のできることは本当に幸せなことなのです。
私は長年カナダに住んで、カナダのファーストネーション(先住民)の人々の文化や歴史に深い関心を持っています。ヨーロッパ人が現在カナダと呼ばれる地に入って来たとき、先住民の人々は大自然と共存する豊かな智慧を育み、独自の文化を持っていました。しかし、ヨーロッパ人の目からは“遅れた土人”と見られ、無理やり英語やフランス語を憶えさせられて独自の文化も放棄するように強制されました。
今、先住民の人々が自己の尊厳と文化を取り戻すために最も力を入れているのが独自の言語の復活です。言葉は文化であり力だからです。
子供の時に、世界には自分たちとは別の言葉を話し、別の考え方をする人々がいることを知るのは大事なことです。また、外国語を話す人々とも偏見や恐れなく交流するためには英語は実に便利です。
しかし、あくまでも”道具”。子供のときから外国語を学ぶのは、もちろん悪いことではありませんが、「家庭で母国語を豊かに育んでいる」ということが大前提だと思います。
・今日の写真はカナディアンロッキーのエメラルド湖から眺めた氷河です。