Part 1でお話ししたように、説教師には幾つかの段階があり、本山で行われる重要な法要や、御法主(宗門の長)の名代として各地に派遣される説教師になるには資格が必要です。
私は今、説教師の入門段階から一つ階段を上がったところにいますが、来月の審査で、もう一つ上の資格を目指しています。肩書きとしての段階にはあまり興味がないので、現在の資格でもかまわないのですが、ときどき審査を受けるのは自分の勉強に大いに励みになると思います。
資格審査は二年に一度行われます。一つ階段を上がるには最低5年の修行が必要とされています。連続して審査をうけて階段を駆け上がるというわけにはいかないのです。これは、説教師として技術や学識を深めるだけでなく、経験を積んで僧侶としての深みも増すようにとの期待があるのだと思います。
う~~ん・・・・私は深みを増したのかしらん?
今回の審査のお題は、法然房源空上人(法然上人)が最晩年に弟子に乞われて書き遺したといわれる『一枚起請文』をテーマにして15~20分のお説教をするというものです。
この『一枚起請文』は、いはば法然上人の御遺言ともいえるもので、上人のお念仏の教えのエッセンスがぎゅっと凝縮されています。全体像をお話しするには時間が短か過ぎるし、一部を取り上げるには内容が濃すぎる・・・という難しいお題です。
審査を受ける人(おそらく10人以上いるでしょう)が全員同じお題で話すのですから、切り口が同じになってはまずい。でも、あまりユニークでもいけない・・・・一枚起請文についてはこう語る・・・という定型があるからです。
審査の日まであとひと月もないのに・・・・まだ話の手順のイメージがかたまりません。いつもなら、大枠の原稿を書いて練習し、当日は話の流れだけメモしたものを持って説教台に登り、当日の参拝者のお顔や様子を見て調整のですが・・・・今回はきちんと原稿を書かなければならないでしょう。
◎今日の写真は昨年の9月27日に、カナダ・メープル街道のロレンシャン高原で撮ったものです。