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今回の「満月写経の会」の参加者は私も入れて三人。寒い本堂で静かに写経をした後、お茶とお菓子をいただきながら月食を待ちました。
月食の始まりは8時48分。時折本堂の縁側へ出て月を眺めると、どんどん月食が進んでいきます。慈雲寺は小さなお寺ですが、それでも本堂前の空間は広々。空も大きく広がっています。月食が進むにつれて、空の星たちが浮かび上がってきます。普段は周囲の人工的な灯りのせいで、月の明るさをあまり気にしたことはないのですが、満月の光は驚くほどパワフル。それが消えていくと、星がたくさん輝いているのに気が付きました。
そして皆既月食です。月が不思議な赤銅色にぼんやり色づいて見えます。私たちが宇宙に浮かぶ小さな惑星に住んでいることをしみじみと思い出しました。これも不思議な感情です。やがて、細い線のように光が再び見え始め、月が元の形に戻っていきます。
月光はしばしば阿弥陀様の御慈悲に例えられます。月はいつでも天空にあるのに、私たちの目は煩悩にさえぎられて、しばしば月明りを見失ってしまうのですね。戻って来たお月様を喜びながら、今日はゆったりとした気持ちで眠れそうです。