『百四拾五箇条問答』という書物は、日本でお念仏の教えを初めて確立された法然坊源空上人(法然上人)が、一般の信者さんたちからの質問に丁寧に答えているという非常に珍しいものです。当時の人々がどんなことを考えていたか、また法然上人がどのような方であったかが生き生きと伝わってきます。
質問の中には、子供を産んだばかりの女性はお寺にお参りしても良いかとか、歯を磨かずにお念仏を称えてはいけないかなど、なかなかおもしろいものもたくさんあります。どうやら当時の人々は「けがれ」というものをとても気にしていたようです。これに対する法然上人の態度は非常に明確です。穢れているとか、清いとかとは関係なく、お念仏申すことが最優先というのです。
近親者をなくしたばかりで喪に服している人は喪が明けるまで神社にお参りするのを遠慮するのが日本の古くからのしきたりです。それは、「けがれ」の中で最もパワフルなのが死のケガレだからです。
しかし、仏教では死をケガレとはみません。喪中の方もどうぞお寺にお参りください。新しい年を静かに故人を思い、ご先祖に感謝しながら迎えませんか....お寺でも大変な人出になるところもあるでしょうが、慈雲寺は静かですよ。
・今日の写真はウズベキスタンで見たタイルです。青の色合いがいつまでも見飽きない美しさでした。