慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

バンクーバーの日本人女性殺人事件と「留学」

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 私は二年半前に慈雲寺に赴任する前、数十年間カナダのバンクーバーで暮らしていました。今回の殺人事件をとてもいたましい気持ちで受け止めています。亡くなられた古川さんの遺体が遺棄されていた場所は、賑やかな通りに面していますが、今は空き家になっている古い邸宅ですから、少し奥に入っただけで人の目を避けられるだろうし、彼女が悲鳴を上げても気が付く人はいなかったでしょう。

 今は事件の内容も十分に判明していませんから、新聞記事だけで判断するのはむずかしく思います。しかし、「英語を学ぶクラブ」を通して被疑者と知り合ったという記事には、いろいろと考えさせれています。

 私は英語を学ぶのであれば、「留学」がベストの方法とは考えていません。英語圏で暮らせば魔法のように英語がうまくなるわけはないと思うからです。自分たちの日常生活を考えてみれば、一日のうちにどれだけのことを話しているでしょうか?「風呂、めし、寝る」ではありませんが、日常会話の内容など、それほど変化に富んでいるわけではありません。使う言葉も豊富なわけではないでしょう。

 語彙を増やすなら本を読んだ方がよっぽど身につくでしょうし、ビジネスや学校での専門的な勉強を通して学ぶことによってより豊かになっていくはずです。

 もちろん、学んだことを実際に口に出して会話をすることは大切でしょう。しかし、少しぐらい「流暢」に話せることよりも、とつとつとしても内容が濃く、語彙が豊富な方が大事だと思うのです。これは自分への反省でもあります。もっともっと、きちんと文法を学び、語彙を増やし、カナダの歴史や文化も深く学ぶべきだったと悔やんでいるのです。

 また、バンクーバーの治安について心配している方がいますが、確かに日本以上に治安の良いところは世界ではあまりないでしょう。しかし、原則は「日本でしないようなことはしない」ということだけです。深夜の一人歩き、麻薬に手を出す、よく知らない人についていくなどなど・・・日本でしないなら、外国でもしないのが良いに決まってているからです。

 もちろん、今回の被害者の方がどんな暮らしをしていたのかわかりません。写真からは聡明で努力家という感じを受けましたが・・・ご冥福をお祈りしています。

◎今日の写真はバンクーバーで見たバラの花です。今頃は秋咲きのバラがあちこちに咲いていることでしょう。