慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

5月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」5月26日10時より行います。テーマは「御祈祷、お守り、お札とは何か」です。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

英語の授業を英語でするって、本当に役に立つの??

 

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数日前の新聞を読んでいたら、文科省が小中学生の英語の教え方について新しい方針を検討していると書かれてありました。特に気になったのは、小学校でも高学年になったら、英語のクラスは教師も英語オンリーで教えることになるらしいというところです。

 英語の授業なのだから、英語にどっぷり使って完全英語の体制で学ぼう!・・・というのは、一見合理的のように聞こえるでしょうが、どれほどの効果があるのでしょう? 

 例えば、先週、朝の英語学習会に来ている子供たちに「" I am thirsty!"という言葉を教えたときのことです。これは「喉が渇いたという意味なのよ。」と日本語で説明すると、3年生のSちゃんが手をあげました。「thirstyのどこが喉なの?」・・・・う~んなかなか鋭いですね。「thirstyという言葉の中に『喉が渇いた』という意味が全部入っているのよ。洗濯物が乾くとは違う言葉なの。」とほかにも同じような言葉があるのと比べたりしながら、けっこう頑張って説明してしまいました。幸いSちゃんも、他の子供たちも興味をもってくれたようです。

 こんな問題はたくさん起きるはずです。そのたびに、英語で子供にわかりやすく説明できる教師がどれだけいるのか疑問です。

 私は「英語ができれば国語なんかいらない」という乱暴な議論には反対です。世界中の最先端の知識を母国語で学ぶことができる日本の翻訳文化のすばらしさは、「国力」です。また自分の国の文化を育み、深みのあるものにするには、母国語の豊かさが不可欠です。外国語を学ぶなら、まず母国語の基礎固めが大事だと思うのです。

 私は、ランゲージラボを使った英会話の授業を公立中学校で導入した、おそらく日本で一番最初の生徒でした。たしかに、発音は上手になったかもしれません。簡単な英会話なら物怖じせずに話せたかもしれません。しかし、がっちり文法を学び基礎固めをし、語彙を増やす勉強をした方が長い目で見れば効果があったのではと思っています。

 文法の誤りが少なく、豊かな表現力で話す人の方が敬意を払われるのは当然です。ビジネスでも、日常会話でも品格のある言葉を話せる人を育てる方が遠回りでも大事なのでは?

●今日の写真は、カナダ・バンクーバーのクィーン・エリザベス公園にある噴水です。バンクーバーの夏はカラリとしてミントのような涼風が吹いてきます。

電車に幽閉されました!でも車掌のアナウスが極上!でトラブル無し。

 

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昨夜、名古屋周辺は落雷をともなう集中豪雨でした。JRも名鉄も運行停止。京都から日帰りしていた私の乗った電車は名古屋駅を出て熱田駅を出発しかかったところで停車しました。それから3時間後、友人に助けられるまで電車の中に幽閉(??)されてしまいました。

 名古屋駅では怒号が飛び交っていたそうですが、おそらく私たちは最も良い条件で停車したのだと思います。

1)駅を完全に出ていなかったので、下車したい人は下車できた。

 携帯電話はありがたいもので、連絡がつく人はすぐに「迎えに来て~~」とSOS発信していました。

 そこでなかなか面白いドラマが!電話連絡のつかない人、「お酒飲んじゃった」と断られている人、「パチンコがいいとこだから待って」と言われたらしい人など、これだけで短編小説ができそうな感じでした。恋人らしい人にあっさり断られてた子は、あとでどんな修羅場が???

2)冷房が止まらなかった

 信号に落雷して電気系統に問題がでたのが停車の原因のようですが、電車内部の電気はそのまま。ちゃんと冷房が効いてました。それでも寒くなり過ぎたら、時々ドアを開けて調節。車掌さん、なかなかナイスな判断。

3)車内にトイレがあった・・・紙はすぐになくなったけど・・・

 名古屋からの東海道線の車内には一か所だけトイレがあります。私たちの場合、熱田駅のトイレを使うことができたので、この点もラッキー。もし、駅と駅の間で3時間以上停車してたら、トイレ問題も深刻でしたよね。

 ただ、車内のトイレの紙はすぐなくなったけれど、なぜか「駅のトイレから紙を持ってこないで」とアナウスされてました。もしかしたら、車内と駅舎内では、備品帳簿が違うから??これだけは理由不明。でも、「次回からは『流せるティッシュ』バッグに常備だな。」と決心しました。

4)状況説明のアナウスが極上

 車掌さんの状況説明がとても適格でわかりやすい。変な期待を持たせるようなことも言わないし、無責任な謝罪も無し。「指令室からの連絡によると」といったように、情報の根拠をきちんと説明する。

 2時間以上を過ぎて、乗り継ぎの電車に乗れない可能性が出てくることをいち早く説明するなど、ともかく極上のアナウスでした。

 おかげで車内で騒ぐ人は一人もおらず、みんなノンビリというか諦めモードで穏やかな感じでした。

 やはり、こういう非常事態のときは、コミュニケーション能力が問われますね。きちんとした日本語で的確に、しかも根拠を示して語れたJRの車掌さん、素晴らしかったです!

 私は3時間を超えた時点で友人に迎えに来ていただきましたが、なんだか、最後まで車内で顛末を体験したかったような気もします。

◎今日の写真はカナダの西海岸からバンクーバー島へ向かうフェリーです。

真贋もあやしい巻物に6億円!

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 先日、境内地売却の膨大な収益を申告漏れさせていたと報道された名古屋の興正寺ですが、昨日の新聞にまた別の問題が報道されました。空海ゆかりとされる巻物を6億円で購入していたというのです。その真贋もどうやらあやしげ・・・しかも、巻物の代金の他に、売買の仲介料とかコンサルタント料とか、なんともきな臭い費用がまとわりついているのです。

 怪しげな骨董屋や茶道具屋があしげく出入りするお寺もあると聞いています。特にバブルのころは「どう見ても変でしょ?」と言いたくなるような雪舟もどきが横行したりしましたね。幸か不幸か、慈雲寺は貧乏寺という評判が行きわたっているせいか、そういう人が訪ねてきたこともありません。

 箪笥や蔵を見ても「いかにも名品」というのはないようです。残念なような、かえってホッとしたような・・・・・でも、時々掛け軸を替えて楽しめたら良いなぁと思っているところです。できれば、涅槃図のように絵解き説教に使えるようなものがあるといいのですが・・・・どうやら、歴代の慈雲寺住職はあまり興味がなかったようです。これも残念なような、ホッとしたような・・・・「ホッとした」の意味は、私のようなずぼらな人間は、なまじな名品があったら保存や維持をきちんとする自信がないからです。あ、お寺に伝わるものを大切に保管するするのも住職の大切は役割でしたね。

 ところで、その6億円の巻物ですが、どうして前住職はそんなものを欲しかったのでしょうねぇ。権威づけの意味もあったのかしら?

 いや、経済的に余裕があるなら、もちろん宗派に関連した文献や美術品を集めるのは悪いことではありません。散逸したり、破損したりする危険から、誰かが積極的に保護すべきだからです。そのために、美術館、博物館、大学などが購入するのは大賛成。寺院も協力できるならすべきでしょう。少々無理をしてでも入手しなければ、それが外国に流出したり、適切に保存・公開されないところに行ってしまう危険があるからです。

 しかし、今回の興正寺の場合は、なんだかそういうものではなさそう。本物でも、億単位の値段がつくようなものではないという意見もあるよいうですから・・・・

◎今日の写真は鞍馬山の森です。京都も、このあたりまで登れば少し涼しいですね。

 

興正寺の「申告漏れ」記事にため息

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 朝の勤行が終わってから、ゆっくり朝刊を読むのが毎朝の楽しみです。でも、今朝の中日新聞の一面トップは「興正寺6億6000万円の申告漏れ」という[ゲンナリするような記事でした。興正寺は名古屋でも最も有名な大寺院の一つ。様々なイベントや納骨堂、墓地の派手な宣伝など、新聞に全面広告が出ているのを何回も見ました。一度お参りに行ってみたいと思っていましたが、まだチャンスがありませんでした。

 このお寺は、境内地を隣接した大学に売却し、その売却金を巡って真言宗の本山ともめていたり、住職が本山から罷免されたり、罷免を不当として裁判を起こしたり・・と問題山積み。

 土地売却益は138億8000万円!新聞や『月刊住職』などの記事によると、この巨額のお金にさまざまな人が群がっている感じです。何億もの「コンサルタント料」とか・・不可思議なお金の流れが浮かびあがってきます。

 仏教は「欲望」に翻弄される苦しみから離れる教えなのに。お金のことは難しいですね。

 もちろん、大きなお寺を維持していこうと思ったら、何らかの手段で巨額の維持費を得なければなりません。境内地を手放して資金を得て、安定した資産運営のできるようにしたいと、最初は純粋に「何とかしなければ」という気持ちで始めたことかもしれませんよね。難しいなぁ・・・・

 今回の件では本山の対応もなんだかモヤモヤです。

 私は、新聞などに派手に納骨堂などの宣伝をしている幾つかのお寺を見るたびに「なんだかあなぁ・・・」と思っています。特に、ハイテク(?!)を駆使したキラキラ納骨堂の宣伝を見ると、「こんな施設を維持していくためには、永遠に自転車操業して行かなきゃならないのでは?」と心配になってしまいます。ハイテクは、完成したその瞬間から「最新」ではなくなっていきます。メンテにどれほどコストがかかるのでしょう。

  納骨堂を探すなら、日頃からお付きあいをして住職とご縁を育んでいけるお寺を選ぶのがおすすめです。住職の人柄や生き方、暮らしぶりが見えるところがベストでしょう。お寺は生きているうちにご縁を結んでくださいね。

◎今日の写真はフィンランドで見た古代のアクセサリーです。どんな人の胸元を飾っていたのでしょうね。

 

夏の英語早起き会を始めました

 

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去年の夏に引き続いて、今年の夏休みも「英語の早起き会」をやることにしました。平日の朝、7時半から30分ほど。毎朝5~6人の小学生がやってきますが、小さなお子さんからシニアの方まで、どなたでも歓迎します。今年はシニアの方や幼稚園のお子さんを連れたお母様も時々顔を出してくれます。

  途中参加でも大丈夫ですので、いつでもおいでください。無料ですが、お寺の用事で時々急に休むこともあるのをお許しください。

 内容は中学校一年生で習うぐらいの英語を使った会話の練習です。

 さて、このブログにも何度か書きましたが、幼児の英語学習についての私の考えを少しお話しします。私は外国語学習に最も大切なのは、母国語をしっかり習得しており、語彙が豊富で、表現力があることだと思っています。まずは母国語が大事なのです。

 私たちがものを考えるとき、母国語で考えるわけですから、母国語こそ私たちの「文化」であり、「人格」そのものなのです。それを基本にして、習得する外国語はあくまでも「便利な道具」にすぎません。ですから、母国語で自分の思考を整理し、人に伝えられる能力を養ってからでないと、外国語の習得は結局薄っぺらなものになってしまいます。

 私は基本的には幼児の英語教育には反対です。では、なぜ子供たちの英語教室をするのかというと、子供たちにお寺に来て欲しいからです。去年の夏休みの英語会に来た子供たちは、その後も放課後などにお寺に来て宿題をしたり遊んだりしています。こんな風に、「なんとなくお寺に行くのが楽しい」とか「お寺に行くと落ち着く」という子供が増えてくればいいなぁと思っているのです。

 知的好奇心の豊かな成長のお手伝いができればと願っています。

◎今日の写真は「生駒の聖天さん」として知られる宝山寺の客殿「獅子閣」です。1886年に建てられたこの建物は、日本人の大工さんの作った「西洋風建築」。当時の最先端だったでしょうね。完成した時のお坊さんたちの反応が知りたいものです。

差別を広げる社会が元凶では?

 

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津久井やまゆり園の犠牲者の方々の冥福を祈って一日を暮らしました。犯人の発言や逮捕移送時の表情などが繰り返しセンセーショナルに伝えられるばかりなので、本当に何が起こったのか、落ち着いて考えられる状況ではまだありません。

 私は2010年にバンクーバーで行われたパラリンピックの冬季大会から、通訳や旅行のお世話などでパラリンピック関係の方々のお手伝いをするようになりました。私の経験はほんの些細なものですが、学ぶことも多く、自分の無知や無神経さを恥ずかしく思うことも少なくありませんでした。

 とりわけ、障碍者の方々が日常生活で出会う、さまざまな問題や困難にもほんの少しですが触れることができました。特にカナダと日本の違いなどに驚くことが多かったのです。

 たとえば、カナダで電車やバスに車いすで乗り込む人がいた場合、他の乗客は積極的に手助けする人が必ずいます。また、直接手助けしないまでも、その人が乗り込むまで、のんびりと待っています。

 しかし、日本ではしばしば、露骨に「時間がかかる」、「余分なスペースを取る」などと非難がましい顔をする人を見かけます。ときには声に出して「障碍者は家から出てくるな」などと言う人もいて、本当に怒りで震えてしまいました。その時は、さすがにその発言をした人の同僚らしい人が諌めていましたけれど・・・・

 経済的格差が広がり、「勝ち組・負け組」というような表現が当然と受け取られるような社会では、差別の問題は今回のような暴力を生んで行く土壌になるのではないでしょうか?他人を貶めることで、自分が高まったように思う哀しい「プライド」に支えられた人生は本当に惨めなものです。

 今回の犯人も障碍者を差別し、「社会に不要なもの」として扱うことで、自分が「社会の主流」の一員であると思いたかったのでしょうか?犯人が自分の殺害行動を「安倍首相に伝えてくれ」と書いていたのは重要なポイントだと思います。

 弱者を切り捨て、経済的勝者のみを優遇していく社会は、殺伐として誰も幸せにはなれないでしょう。仏教では、自らを不幸にするのは、自らの欲深さだと教えてい

◎今日の写真はカナダのビクトリア沖で見たシャチの群れです。

 

 

本当かなぁ???慈雲寺もポケモンGOに関係してる???

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 週末の朝は子供たちが英語の勉強(ま、遊び程度ですが・・・)に来ています。今朝、そのうちの一人の子が「ポケモンポケモン」と騒いでいます。どうやら、彼女の親がすでにポケモンGOを始めたらしい。そうかぁ・・・すでに小学生の親世代もポケモンに夢中になるのですね。私はスマホを持っていないので、どうもピンときませんが・・・

 ところが話を聞いてみると、この慈雲寺も今回のポケモン騒動とは無縁ではないらしいのです。彼女によれば、どうやら慈雲寺の門の前がポケモンスポットになっているらしい。ほんとかなぁ???もっと有名な観光スポットならともかく・・・慈雲寺???

でも、昨日からこのブログのアクセス数が異常に伸びています。いつもの3倍近く!もしかしたら、その関係かしら?

 ま、今のところポケモン探しと思われる人はいませんし、単なる勘違いかな?もっと有名な別の慈雲寺かも??慈雲寺というお寺は全国に幾つもありますから・・・

 でも、ポケモンでもなんでも、慈雲寺にいらっしゃる方は歓迎します。ぜひ、本堂にお参りしてくださいね。お賽銭も入れてくださるとさらにありがたいです。

 慈雲寺の前の通りはとても狭いのですが(江戸時代から続く道なので)、ときどきスピードを出して車が通ります。スマホを見ながら歩けるような場所ではないので、どうぞくれぐれも注意してくださいませ。

◎今日の写真はカナダの西海岸の先住民のトーテムポールです。トーテムポールはカナダとアラスカの国境近くにあるクィーン・シャーロット島に住む、ハイダ族の人々から始まって西海岸に広がっていった伝統です。