慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

5月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」5月26日10時より行います。テーマは「御祈祷、お守り、お札とは何か」です。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

メリー・ポピンズに教わったこと

 

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 私はお経の暗記も苦手だし、小説の中の一節や映画のセリフを覚えて、ちょっとお洒落に会話の中に使うなどという芸当もなかなかできません。これって説教師には少々致命的な欠点です。お説教の中に、お経や祖師たちの教えの一節を取り入れるだけではなく、映画や小説の中から印象的なフレーズを使って、仏教をわかりやすく伝えるのは大切なポイントです。

 ですから、説教師は特別な心覚えのノートを作って、印象的な言葉や譬えなどを書き留めて置いたりします。それを「味噌帖」と呼ぶのだと教えてもらったことがあります。これが正しい漢字かどうかわかりませんが、私は「話のミソ」という意味だと思っています。

 今は、お彼岸のお説教の準備をしているのですが、ここ数日一歩も前に進めなくて悩んでいました。いろいろ考えるのもチョッと飽きた???とゲンナリしていたら、急に映画の中でメリー・ポピンズが言っていた言葉を思い出しました。

 「しなくちゃいけない仕事には、何か楽しめる要素があるもの。」

 う~ん・・・お説教は私にとって修行の一つで、「仕事」とは本質的に違うものですが、やらなければいけないことなのは同じ。何か楽しめる要素がきっとありますよね。

 美味しいお茶を入れて、一休みしてから、原稿を練り直すことにしましょう。

◎今日の写真はカナダの西海岸に咲いていた野草です。何だか今夜はとてもカナダが懐かしい・・・

 

お彼岸の間、『当麻曼荼羅』の御開帳をいたします。

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 お彼岸が近づいてきました。「暑さ寒さも彼岸まで」といいますから、これから少しずつ暑さもやわらいでくるのかと、楽しみです。

 さて、9月18日は毎月開いている「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」の日です。次回のテーマは「お彼岸の迎え方」。お彼岸の意味や慣習、仏教徒としてお彼岸の7日間をどのように過ごしたら良いのか、御一緒に考えてみましょう。

 また、18日から25日までは、『当麻曼荼羅』の御開帳をいたします。『当麻曼荼羅』の原本は奈良の当麻寺の御本尊になっている、国宝の巨大な掛け軸です。昔、中将姫というお姫様が、一晩で織ったと言われています。

 この曼荼羅は、密教胎蔵界曼荼羅などとは違い、『観無量寿経』というお経に説かれている極楽の様子が非常に複雑な構図で描かれています。曼荼羅ですから、蓮の花の開き具合から、極楽の池に浮かぶ船のようすなどまで、すべて仏さまの教えを象徴しているのです。

 慈雲寺が所蔵している『当麻曼荼羅』は、当麻寺の元本の約四分の一の大きさですが、それでも一人では広げるのも大変な大きさです。もちろん複製ですが比較的新しい・・・というか、今まで全く檀信徒の方々に公開していないのではと思います。

 慈雲寺の属する西山浄土宗で、この曼荼羅を使って布教する伝統があります。極楽で説法をする阿弥陀様から、きれいな蓮の花まで、この曼荼羅には本当にたくさんのものが描かれています。その一つ一つの象徴的な意味を解説しながら、阿弥陀仏への帰依を勧めるのが、西山派の僧侶の「必須分野」だったわけです。

 残念ながら、曼荼羅を使った「絵解き説教」のできる説教師は、今、ほとんどいません。とても残念なことです。なんとか、みなさんに、この曼荼羅の魅力を知っていただきたいと思い、せめて簡単な解説ができるようにと少しずつ本を読んでいます。本を読むだけでは、なかなか先輩説教師の真髄に触れるのは難しいですが。

 さて、お彼岸の期間中、本堂でこの『当麻曼荼羅』の御開帳を行います。ご自由に本堂に上がり、ゆっくり曼荼羅とご縁を結んでください。

22日の10時からは、お彼岸の法要と『当麻曼荼羅』の簡単な解説も行います。どなたでも、ご参加を歓迎いたします。

◎今日の写真は、カナダ西海岸の先住民が儀式のときに被るお面です。

 

 

お花のお供えをいただきました。

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 去年から続けている「英語の早起き会」でご縁ができたお子さんのお母さまが、きれいな花束を持って慈雲寺を訪ねてくださいました。

 「お花をたくさんいただいたのですが、家では飾り切れなくて、どうしようかと思っていたら、義母さんが『お寺に差し上げたらどう?いつも花を飾ってるから』と言ったので持ってきました。」とのことです。

 もちろんお花のお供えは大歓迎です!それ以上に嬉しいのは、ご近所の方が慈雲寺のことを「お花があちこちに飾ってあるお寺」と思ってくださっていることです。

 私が慈雲寺に着任して、一番最初にしたことは寺門のところにあった柵を開くことでした。別に鍵がかかっていたわけではありませんが、門の柵はいつも閉まっていて、境内に入りにくい感じだったのです。その次には、寺門のところに、その時期に慈雲寺の庭に咲いている花を生けたことです。始めたきっかけは、境内に咲いた梅の花。「梅が咲きましたから、どうぞ境内に入って楽しんでください」とサインを付けて花を飾ったのがきっかけでした。

 庫裏の裏の空き地に花の種を蒔いて、一年中、境内に咲いた花を飾ることができるようにするのが私の夢です。まあ、空き地はあれよあれよと言う間に雑草が生い茂って、花畑には程遠い状態ではあるのですが・・・・

 紫陽花や夾竹桃、もうすぐ菊の花も咲くことでしょう・・・でも、なかなかタイミングが合いませんね。そんなとき、いただいた花を飾れるのはとても嬉しい。

 夏は仏花も長持ちしないので、仏さまへのお花の供養もなかなか思うようにいきません。ご近所の花屋さんが気を使って代金をお値打ちにしてくださるのですが・・・・こまめに花を替えるのは、正直なかなか難しいところです。

 いただいたお花で、お地蔵さまや無縁仏さんのお花を替えることができます。ありがとうございました。

◎今日の写真はカナダのバンクーバー島で見た木です。スズランのような可愛らしい花が咲いていました。

子供たちがお土産をくれました。何だか嬉しい!

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 夏休みの間、毎日英会話の早起き会をしていました。今年は去年より人数は少なかったのですが、それだけに一人一人に手厚くできて楽しい日々でした。皆なそれぞれ個性があって、それをのびやかに広げられる環境にいるらしい感じも嬉しいものでした。

 9月になってからは、週末の土日に同じように早起き会を続けます。どなたでも歓迎しますので。お気軽においでください。7時半からです。

 さて、その子供たちが夏休みの間にいろいろな所へ行ったようで、そのたびに自分のおこずかいで買ったらしいお土産をもらいました。これが何だかとても嬉しい。いろいろ考えて選んだらしいのが伝わってきます。

 先日はユニバーサルスタジオへ行った子から、お菓子をいただきました。セサミストリートのキャラクターのついた可愛らしい缶に入っていました。私はカリフォルニアやフロリダのユニバーサルスタジオには行ったことがありますが、日本のはまだ。ちょっと行ってみたくなりました。

◎今日の写真は、前回アップした写真の彫刻をちょっと引いて撮影したものです。シャチを象徴するトーテムポールの一部です。

知的好奇心の旺盛な子供は地域の宝 (Part2)

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 持論というほど深く考えているわけではありませんが、外国語の習得に関する私の基本的な考えは、「外国語の習得には、まず母国語をしっかり身に着ける。母国語で自己表現ができるように語彙も増やす」というものです。それなのに、去年の夏休みから、休みごとに「英語の早起き会」なるものをやっています。

 第一の目的は子供のうちに「お寺へ来る」という経験をして欲しいからです。これは大人の方にも、シニアの方でも同じ気持ちです。お墓参りや法事の時だけではなく、普段の生活の中に「お寺へ行く」というのを入れて欲しいと思っています。英会話教室がそのきっかけになれば・・・という気持ちなのです。

 この会を始めて、いろいろと楽しいことがありましたが、私にとって一番の発見は、「知的好奇心旺盛な子供たち」との出会いです。前回のPart1に書いた、歴史マニアのH君を始め、それぞれの子供が「考えて」いるのを見るのは、私にとってとても楽しいことです。英語を習うことが、「日本以外のところにも人が住んでいて、違う言葉を話し、違う考え方、暮らし方をしている」ということに気が付く、関心を持ってもらえるきっかけになればという気持ちが強くなってきたからです。

 知的好奇心の強い子供はまさに「地域の宝」。やがて、豊かなコミュニティ作りに大きな力になってくれるはずです。

 今年の夏に来た子供たちは、皆、自分の意思で毎朝通ってくれました。無料で行っていますが、自分たちのおこずかいからお賽銭を入れてくれる日もあります。お寺へのお賽銭はいつでもありがたいですが、子供たちの小さなお財布から供されるものは特にありがたく思えます。

 この子供たちの知的好奇心が健やかに広がっていく手伝いができるように、私も修行を続けなければと思っています。

 さて、夏休みが終わったら、今度は土日の朝、7時半から「早起き会」を続けます。中学一年生で習う程度のやさしい文章を使って英語に慣れるのが目的です。どなたでも歓迎します。

◎今日の写真はカナダ西海岸の先住民の人々の工芸作品です。

知的好奇心の旺盛な子供は地域の宝!(Part1)

 

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私が桶狭間のお寺に赴任してから二年半が過ぎようとしています。何かにつけて僧侶にあるまじき「愚図」が災いして、いろいろなことがテキパキと進んでいきません。しかし、コミュニティのさまざまな活動にお寺も積極的に参加したいという気持ちは確実に大きくなっています。

 この地域は、名古屋という大都市の中にもかかわらず観光協会から商工会議所、町内会や消防団、防災協会などなど、いろいろなコミュニティ活動がとても活発で、現実的に機能しているように感じられます。

 私が赴任して一番最初に入れていただいたのが、「桶狭間歴史保存会」です。桶狭間の戦いの歴史を中心に、地域史を研究し、ここを訪れる観光客や研究者へのボランティアガイドや講演会などを行っています。桶狭間の合戦がおこおなわれた日が近づくと、戦死者のための供養やイベントを企画するのも、この会のメンバーが中心になって活動しているようです。

 私は古代から鎌倉時代ぐらいまでの歴史には興味がありますが、南北朝以降はほとんど知りませんでした。この会のメンバーにしていただいて、少しずつ関連書を読み始めている段階です。織田信長が通った道は今も残っていますし、歴史が語りかける土地に赴任してきたのも、何か深いご縁と思えています。

 さて、この会では毎年一回、織田信長今川義元、そして彼らの周辺の人々と関連したゆかりの地を訪ねる「遠足」を行っています。昨日、私もやっと参加させてもらえました。毎年バス一台が満員!

 今回は、毎日英語の早起き会にやってくるH君も誘ってみました。彼は小学校四年生ですが、どうやらなかなかの歴史マニア。本もずいぶん読んでいるようです。

昨日の遠足には、もう一人、小学校二年生の女の子も参加していました。彼女は平安時代が好きらしい・・・

 知的好奇心の旺盛な子供は地域の宝物ですね!保存会の長老たちにH君を「将来の桶狭間歴史保存会を背負う子になりますよ」と紹介すると、みなさん喜んでくださいました。H君も、さっそく「会員になりたい!」とニコニコでした。

◎今日の写真は、カナダのバンクーバーにあるクィーン・エリザベス公園のサンクンガーデンです。サンクンは「沈んだ」という意味で、上から見下ろして楽しむユニークな作庭デザインです。

京都市最強の「パワースポット」はここか!も・・・・??

 

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このところ、『旅行読売』という月刊誌に連載のお仕事をいただいています。テーマは関西地域の「御利益散歩」。ゆったり散歩しながら、御利益のある社寺を参拝しようという記事を書いています。

 私は浄土系の僧侶ですから、お念仏第一。現世利益を強調するのはちょっとまずいかも??と思わないでもないですが、こうした社寺を廻るうちに、人間の苦しみや幸せの形というものを考えさせられています。

 今まで北米の観光地を紹介するのが主だった私にとっては、旅行ライターとして新たなチャレンジ。毎月、取材に行くのがとても楽しみです。

 今回の取材は10月初旬に発売される11月号用の取材でした。京都の寺町通りをどんどん北に上がっていって、今出川通を越えたところにある佛陀寺というお寺に、実は「平安京を護るために天皇の勅命で作られたお地蔵さま」があるというのです。しかも彫ったのは弘法大師と伝えられています。

 お地蔵さまと言えば、優しい表情の石仏さんを思い浮かべるでしょうが、佛陀寺のお地蔵さまは木像。背筋をキリリと伸ばした坐像です。表情がなんとも凛々しい!ハンサム・・・

 観光客にもほとんど知られておらず、地元の人にも「安産のお地蔵さん」として親しまれているこの菩薩さまが、実は(!)密かに都を護っているのだ・・・う~ん・・・「パワースポット」という言葉はあまり好きではありませんが、なんだか、このお地蔵さまからは不思議な「力」が発せられているような気がしました。

続きは『旅行読売』の11月号で!(笑)

◎今日の写真はカナダで撮った木です。上の方の葉の色が面白いと思いました。紅葉というのではなさそうでしたが・・・なんの木かしら?