慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

5月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」5月26日10時より行います。テーマは「御祈祷、お守り、お札とは何か」です。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

暴風雨の音を聞きながら考えたこと

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 台風の影響はいかがでしたか?先日の豪雨の被害にあわれた地域が、さらなる被害が加わらないことを祈るばかりです。

 26日から東京へ行ってきました。日本旅行作家協会の例会に出たり、かけがえのない友人であり、恩人でもあるYさんとお会いしたり、母の無事も確認できたりと、短い時間ながら、さまざまな思いを巡らせた数日でした。

 台風の影響を気にしながら名古屋へ戻る新幹線の中で、26日夕刊から、じっくりと新聞を読み直しました。オウム真理教の関係者の死刑囚が、全員、死刑執行されたというニュースです。

 以前にも何回も書きましたが、私は、仏教徒として「死刑」には反対です。死刑廃止のためにできることをしていきたいと思っています。

 今回の「一か月のうちに13名もの死刑の執行」という、あまりにも政治的過ぎる動きに、深い哀しみと憤りを感じています。

 オウム真理教の問題は、まだ解明されていないことが多く、今回の死刑執行で、重要な手がかりが失われたと言って良いでしょう。

 また、再審請求中の人、死刑判決が妥当とは考えにくい人などもいたにもかかわらず、13人をまとめて殺すことの意味は何だったのかと思わずにはいられません。執行の最終責任者である上川法相の態度(執行前夜に安倍首相などと共に宴会・・・)にも不信感が大きいです。

 仏教徒は、殺生、とりわけ人を殺すことをきびしく戒められています。殺すことも、殺させることも、殺すことを容認することも、仏教徒としてしてはいけないことです。オーム真理教関係の死刑囚であろうとなかろうと、これは誰に対しても同じです。殺して良い人などのいないからです。

 死刑が犯罪の抑止力になるというのは幻想だというのは、カナダの例などで十分に証明されているでしょう。冤罪の可能性がゼロでないことも忘れてはなりません。

 また、今回のように、死刑を執行することで、問題の本質が見えなくなり、かえって、次の犯罪を防止するための研究が阻害される可能性があることも見逃せません。

 また、オーム真理教事件の被害者、その関係者の哀しみや憤りは、死刑によって解決されるとは思えません。怨みで怨みを消すことはできないからです。目には目を・・・で、心の平安を得ることはできないのです。

◎カナダのバンクーバーで見たアオサギです。

 

台風来襲(?!)でも、「満月写経の会」は行います。

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 慈雲寺では、毎月満月の夜に写経と写仏の会を行っています。7月は28日の土曜日です。

 今月は皆既月食になるはずで、お月見がととりわけ楽しみでした。しかし・・・どうやら明日は大雨になるとか。でも台風はどこに上陸するか、いまだにハッキリしないようです。月が出ないまでも、せめて本堂の戸を開放していられる状態だと良いのですが・・・

 いずれにせよ、「満月写経の会」は行います。御無理をなさらなくても、お寺においでになれるようでしたら、ぜひご参加ください。どなたでもお気軽に体験していただけます。

 今月からは、慈雲寺にご縁のあった方が丁寧に描いて下さった、なんとも穏やかな表情の仏さまや菩薩さまの写仏もしていただけます。こちらも、輪郭線などが、あまり複雑にならないように描いていただきましたので、初心者の方にも楽しみながら、仏さまの御姿に触れていただけると思います。

 

◎慈雲寺への公共交通のアクセス

 慈雲寺には十分な駐車場がありませんが、写経の会の時はそれほど多くの方がおいでになるわけではないので、お車でおいでになっても大丈夫です。もちろん、バスもご利

が用いただけます。
 名鉄有松駅前から、「有松12番 有松町口無池行き 地蔵池経由」に乗ってください。これらのバスに乗り、郷前(ごうまえ)の停留所でお降りください。そのまま道なりに進むと郷前の交差点に出ます。角に鍼灸院があり、その右手の細い坂道を上がると慈雲寺の屋根が見えてきます。
   また、時間はかかりますが、地下鉄の鳴子北駅から出ている「鳴子13番」のバスも郷前に停まります。
●栄のバスターミナルからは森の里団地行きのバスが一時間に一本出ています。この場合は、郷前の停留所から道を戻って郷前の交差点に行ってください。所要時間は約40分
●JRの共和駅からタクシーで5分。市バスはありません。「郷前の交差点近くの慈雲寺」とおっしゃってください。慈雲寺を知らないタクシーの運転手もいますので、その場合は郷前の交差点の鍼灸院で降りてください。鍼灸院からお寺の屋根が見えます。

夏安吾・・・エアコン付き

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 これからしばらくは、北極海周辺で見た流氷や氷山の写真を選んで掲載します。少しだけでも北極海の風を感じてください。

 さて、「安吾」というのは、いつもは各地でバラバラに遊行している僧侶たちが、夏と冬の年二回、特定の場所に集まって(籠って)修行することをいいます。この修行はとても大切なものとされています。

 静かで涼やかな緑陰のある場所に籠って修行するのですが、今日の名古屋には、どこにもそんな場所はありそうにない!仕方がないので、朝のお勤めが終わったら早速エアコンを入れて、一日ごろごろしていました・・・・あ、ごろごろしていたのでは修行になりませんね。正直言うと、何もする気になれない。台所でお料理をするのも・・・

 う~ん・・・もうすぐ、お盆やお施餓鬼の8月がやってきます。こんなことでへたばっていては、8月を乗り切れません。

 

酷暑の中、たくさんの方々が「聴聞」においで下さいました。

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 まずは、北極海の夏の海をご覧ください。遠くに見えるのは氷山です。ちょっと涼んでいただけましたか?

 今日は、毎月行っている「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」の日でした。気温は37度まで上がる予想でしたから、おいでになる方はそれほど多くないのでは・・・と思っていました。

 私の最初の師僧だった橋本随暢上人は、宗門屈指の説教師でした。師僧は「お説教に来て下さる方が、二人でも一人でも、百人でも同じ気持ちでお説教しなさい。だれも来て下さらなかったら、御本尊さまに聞いていただきなさい。」といつもおっしゃっていました。

 ですから、何人来て下さっても嬉しい・・・という気持ちでお待ちしていたのですが、短いお経をあげて振り返ったら、なんと30人ぐらいの方がいらしていました。正直、びっくり。そして、なんだかとても嬉しくなりました。一人でも百人でも同じ気持ち・・・いや、やはりたくさんの方が嬉しいのが正直な気持ちですね。

 友人の尼僧さんがいらして下さったり、大阪から来て下さった方も!ご縁を結んで下さった方々に、本当にありがたく思います。

 慈雲寺の属する浄土宗西山派西山浄土宗)の宗祖は法然源空上人(法然上人)です。西山派を開いた流祖は善慧房證空上人です。法然上人のたくさんのお弟子の中で、證空上人と浄土真宗を開いた親鸞聖人のお二人は、「お説教を聴聞する」ということを非常に重要視しました。

 證空上人は、「阿弥陀仏がなぜ仏になられたのか」、「阿弥陀仏の願いとは何なのか」といった、「阿弥陀仏の因縁」というものを聞かせてもらうこと、これだけで私たちは阿弥陀仏にすでに救われていることの気づき、阿弥陀仏と強い強い縁で結ばれるのだと教えてくださっています。

 ですから、阿弥陀仏の願い、お慈悲についてお伝えすることは、西山派の僧侶の最も大切な役割なのです。

 さて、来月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、8月26日(日)の10時から行います。テーマは「幽霊と仏教」です。仏教は幽霊の存在を認めているのでしょうか?幽霊とは何なのでしょう?改めて、御一緒に考えてみましょう。

「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」のお知らせ : 猛暑の日だからこそ、あえて少し暑苦しい「業」について御一緒に学びましょう!

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  慈雲寺では、毎月一回、気軽に仏教のものの見方、考え方をテーマにしたお話しの会を行っています。「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」と名付けていますが、“講座”というほど、堅苦しいものではありません。御一緒に考えてみましょう・・・という気持ちです。どなたでもお気軽にご参加ください。

 今月は7月22日10時より行います。

 天気予報では22日の最高気温は36度まで上がるそうですが、風が吹きさえすれば、午前中の本堂はまだ我慢できる範囲かと思います。冷たいお茶と大きな扇風機ぐらいしかご用意できませんが・・・・どうぞ、できるだけ身軽な服装でお出かけください。

 今月のテーマは「自業自得の本当の意味は?」です。「業」とはいったいなんなのでしょうか?改めて考えてみましょう。

 ◎慈雲寺への交通アクセス

 申し訳ありませんが、慈雲寺には十分な駐車場がありません。なるべく公共交通を使っておいでくださいませ。近くの有松ジャンボリーSCに大きな駐車場があり、無料で駐車できます。そこからお寺まで、北へ徒歩5分。
★鉄道、バスのアクセス
 名鉄有松駅前から、「有松12番 有松町口無池行き 地蔵池経由」に乗ってください。日曜の9時台は二番乗り場から9時07分と36分に発車します。これらのバスに乗り、郷前(ごうまえ)の停留所でお降りください。そのまま道なりに進むと郷前の交差点に出ます。角に鍼灸院があり、その右手の細い坂道を上がると慈雲寺の屋根が見えてきます。
   また、時間はかかりますが、地下鉄の鳴子北駅から出ている「鳴子13番」のバスも郷前に停まります。日曜は8時45分にバスが出ます。
●地下鉄徳重駅からも郷前に停まるバスがあります。
●栄のバスターミナルからは森の里団地行きのバスが一時間に一本出ています。この場合は、郷前の停留所から道を戻って郷前の交差点に行ってください。日曜は8時50分発があります。所要時間は約40分
●JRの大高駅から緑循環バスの名鉄有松行で郷前に行くことができます。日曜は8時44分と9時44分に出発します。9時台のバスですと10時の開始時間には少し遅れますが、あわてずにおいでください。
●また、同じ緑循環バスの名鉄有松行は南大高駅東にも停車します。9時9分発です。
●JRの共和駅からタクシーで5分。市バスはありません。

◎今日の写真はインドのタージマハールで見た、大理石の象嵌模様です。

 

當麻曼荼羅を拝みに奈良博物館へ・・・博物館から駅への1キロが歩けなかった!

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 猛暑が続いています。皆さま、どうぞくれぐれもご自愛ください。さて、今日は奈良博物館へ「當麻曼荼羅」を拝みに行ってまいりました。

 国宝の「當麻曼荼羅」は、奈良の當麻寺の御本尊。天平時代に中将姫が蓮の繊維を使かい、阿弥陀仏の化身と共に一晩で織りあげたものと言われています。

 この曼荼羅は『観無量寿経』に説かれた極楽の様子が描かれている、変相図の一種です。しかし、浄土宗西山派の流祖である善慧房證空(西山上人)は、この曼荼羅が単なる変相図ではなく、中国で浄土教を確立した善導大師が『観無量寿経』を解釈、解説した『観経疏』に基づいて描かれていることに気が付きました。

 證空の師であり、西山派の宗祖である法然源空法然上人)は、善導の解釈を深く信頼していました。だかからこそ、證空はこの曼荼羅が特別なものであることに気が付いたのです。以来、西山派の僧侶は、布教の際、この曼荼羅を模写したものを使ってきました。「當麻曼荼羅絵解き説教」の伝統は今も続いています。

 さて、今回は原本である国宝の當麻曼荼羅の完全修復が終わり、それを記念してさまざまな繍仏(刺繍によって表された仏画)集めた展覧会「糸のみほとけ」展が奈良博物館で行われていたのです。

 私は證空上人が拝まれた當麻曼荼羅の原本に出会えただけで深く、深く感動しました。この曼荼羅を通して證空上人の背中を見たような気さえしました。まだ、興奮冷めやらぬ状態なので、展覧会の感想はまた後程。

 しかし、それにしても今日は暑かった・・・近鉄奈良駅から博物館まで約1キロの道のり。ゆるやかな坂道です。いつもなら、「ちょっと遠いいなぁ」と心の中でブツブツ言いながら歩きます。しかし、今日は博物館に到着した時点で、「これはちょっと危ないぞ」という感じ。

 展覧会場はすいていて、人混みで苦しいということもありませんでしたし、當麻曼荼羅の前でゆっくり椅子に座って拝ませていただいたので、休養は取れたのですが・・・

 帰り路は、ちょっと心配だったのでバスに乗りました。二停留所だけですが、乗って正解だったと思います。

 どうぞ、皆さまも無理をなさらずに・・・

 ところで、この道のり、鹿に餌をやったりして元気に歩いていた人のほとんどは外国からの観光客のようでした。海外旅行となると、元気になるのかも?以前は日本人も、かなり強硬スケジュールの海外旅行をしてましたよね。

◎今日の写真は、當麻曼荼羅の模写の一つです。

 

熱中症の犠牲者を悼む

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 集中豪雨の救援などのボランティアをなさっている方々をはじめ、各地で熱中症で病院に搬送された人が続出しています。亡くなられた方もおられます。とりわけ今朝は、愛知県の小学生が犠牲となったと報じられています。

 今朝は本堂の花を替え、犠牲者の方々の御供養をさせていただきました。

 熱中症を防ぐのは、こまめな水分補給や塩分、ミネラルの補給などが言われていますが、「暑い、暑い」とだけ思っていると、自分の体調の変化にかえって気が向かなくなるのではないでしょうか?

 寝る前にも、十分水分補給するのがおすすめだそうです。夜、トイレに行きたくなくて、水分を控える方もいるようですが、夏の間はぜひ寝る前にもお水などを召し上がってください。また、翌朝もまず水分補給から一日をスタートしましょう。

 私も、起きたらすぐに白湯。仏様にお水をお供えする前に、自分の水分補給です。仏様ごめんなさい。

 風が吹けば、慈雲寺の本堂は風の通りも良く、心地良くお経をあげることもできます。しかし、今日は空気もどんより・・・阿弥陀様や、もともとインド人のお釈迦さまは大丈夫かもしれませんが、空海さまや善導さま、法然さまは、なんだかちょっと困っていらっしゃるみたいでした。

 慈雲寺には、いつでも冷たいお茶と塩飴など、塩分補給をしていただけるものを置いてあります。ご遠慮なく、一服なさって下さい。

◎今日の写真は南米のコロンビアのカリという町にある宗教博物館です。庭の木々が作る影に入れば、心地よい風が吹いてきます。