慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

東日本大震災から四年に思う - 僧侶として、旅行ライターとして -

 

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東日本大震災から4年。復興計画もなかなか進まず、仮設住宅での暮らしも続き、何より福島原発は先行きが見えない状況が続いています。今日は、午後2時46分から心を籠めて供養の読経をさせていただこうと準備をしているところです。

 私は震災から一年後、国連世界観光機関のお仕事で、宮城県亘理町へ行き、その時の取材をもとにイタリアとスペインで講演会をしました。亘理町では、瓦礫の山の巨大さ、人々の生活を根こそぎ破壊した大自然の力、そして復興のためにコツコツと努力を続ける人々の姿に重い哀しみと感動をおぼえました。

 ヨーロッパでは、どの会場もいっぱいの人で、現地の人々が深い関心を持ち、同情の気持ちと暖かな励ましの心を持ってくれていることがとても印象的でした。

 私は30年近くにわたって旅行ライターをしてきましたが、津波の後のプーケット島、大地震直後のロスアンジェルス、爆弾事件後のバリ島など、しばしば観光業界にとって難しい状況のところに出かけて取材してきました。観光客が訪れることによって、支援金などよりも直接現地の人々に励ましと経済効果が現れるし、風評被害を防止するためにも旅行ライターとしてやりがいのある仕事でした。

 東北の復興のために、地道なボランティア活動続けたり、経済支援を続けている方はたくさんいます。旅行ライターとしての私にできることは東日本の魅力を発信していくことでしょう。今、東北に旅することは震災の記憶を風化させないためにも、今後の復興支援の方向性を考えるうえでも有効な基盤となるでしょう。

 僧侶としては亡くなられた方の供養を続けるのはもちろんですが、今を生きる人々の心に寄り添えるようなことをしていきたいと思っています。

・今日の写真は津波で被害を受けた寺院と墓地です。雪の中で小さな破片となった遺骨を集めていた方と出会いました。