不要不急の外出を控えるように呼び掛ける声が高まっています。新型コロナウイルスの状況を考えれば当然のことでしょう。
外出をひかえ、じっくりと自分にとって不要なもの、不急な行動とは何かを考えてみましょう。
私はこの数十年間、旅行ライターで糊口をしのいできました。「旅行」は、世界が安全で穏やかでなければ成り立ちません。生活にも余裕がなければできないことです。不要不急の代表と言って良いかもしれません。
しかし、私はこの「安寧」の象徴を人に勧める仕事を楽しんでいるし、誇りにも思っています。災害に見舞われた土地の人々に、直接、すばやく経済的な支援ができるのは「旅行者」です。スマトラ沖地震やカリフォルニアの大地震の時も、「もう大丈夫、旅行に来て下さい」と報道できたこと、それによって被災地の人々が少しでも潤う手伝いができたことを嬉しく思っています。
とはいえ、今、世界中どこにも「おすすめの旅先」はありません。「人気の観光地」、「観光名所」を勧めることはできません。
旅行ライターを含め、全ての旅行業界にとって、かつてない危機と言って良いでしょう。
しかし、旅の楽しさは「遠出」しなければ味わえないわけではありません。ご近所の散歩はいかがですか?
こんな時こそ、ご近所のお寺や神社にお参りしてみませんか?
桜の花は、ご近所の学校の校庭でも美しく咲いています。桜の下で飲み食いしなくても、花の美しさを愛でることはできます。
そして、今こそ、自分の内なる世界へ旅してみませんか?本当に自分にとって大切なもの、大切なことを探す旅です。不要不急について考えることは、多くの発見をもたらすでしょう。これこそまさに「旅」のだいご味に他なりません。