當麻曼荼羅は、奈良の當麻寺の御本尊です。『観無量寿経』に説かれた極楽の様子を描いたものです。お浄土の様子を描いた浄土変相図は他にもありますが、當麻寺に伝えられているものは、唐の時代に中国浄土教を確立した善導大師が『観無量寿経』を解釈した『観経疏』に基づいて描かれています。
善導大師を深く信仰した法然房源空上人(法然上人)の教えを受け継いだ善慧房証空上人(西山上人)は、當麻曼荼羅の特殊性に気が付き、この曼荼羅を使って教えを広めていくことにしました。以来、浄土宗西山派(西山浄土宗)の僧侶たちは、當麻曼荼羅の絵解き説教による布教を続けてきました。しかし、近年になると絵解き説教のできる僧侶は少なくなってきました。
先日、西山浄土宗の説教師たちの研修会が岐阜市で開かれました。二日間にわたって、布教の基本となる教学や歴史などを学んだのですが、最後に當麻曼荼羅の絵解き説教の実演を聞かせていただきました。
講師の畔柳師は、まだお若い方だったのですが、グイグイとお話しに引き付けられる素晴らしいお説教でした。笑いも入れながら、教えにスッと導いていく手腕は、すぐには見習えないレベルの高さでしたが、「この方の絵解き説教を目標にさせていただこう!」と元気が出ました。
私は「二河白道」や「涅槃図」など、絵図を掲げて、それを絵解きするお説教にとても興味があります。當麻曼荼羅は、巨大で、そこに含まれる教えも広大ですから、なかなか難しいですが、まずは「二河白道」から(もちろん、二河白道の譬えも非常に奥が深いですが・・・)、練習を続けてみたいと思っています。
慈雲寺でも、年に一度、二河白道の絵解き説教を恒例にしたいと思っています。