慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

旅に行かれないから「極楽」見物 Part 2

 

奈良の當麻寺の本尊である、国宝の『當麻曼荼羅

 

 

 先月、奈良の国立博物館で行われていた「中将姫と當麻曼荼羅」展を見に行ったお話をこのブログに書き始めました。

旅に行かれないから「極楽」見物 Part 1 - 慈雲寺新米庵主のおろおろ日記 (hatenablog.com)

 

「Part1 」としたので、続きを気にして下さっている方から、「Part 2はいつ書くの?」と催促していただきました。

 気にはしていたのですが・・・・このところ、ブログのエントリー頻度に勢いがないと友人から笑われたりしています。

 

 さて、この極楽旅・・・ではなく、この展覧会ですが、當麻寺の御本尊である綴れ織りの「當麻曼荼羅」は、『観無量寿経』という代表的な浄土経典に描写された極楽の様子を描いた「観経曼陀羅」と呼ばれるものの一種です。當麻曼荼羅は、通常の観経曼陀羅とは違い、7世紀に中国で浄土教の教えを確立した善導大師が『観無量寿経』を解釈した『観経疏』にの説を裏付けるように描かれていると考えられています。

 この曼陀羅は、中将姫が蓮の繊維を使って、一晩で織り上げたと伝えられ、8世紀には當麻寺曼陀羅堂が建てられていたとされています。

 

 法然源空上人(法然上人)の高弟である善慧房証空上人(西山上人)は、この曼陀羅に出会ったとき、善導による『観無量寿経』の解釈とぴったり符号する曼陀羅であることに気づき、歓喜したそうです。

 以来、法然上人を宗祖とし、西山上人を流祖とする浄土宗西山派では、この當麻曼荼羅を縮小模写したものを使って、『観無量寿経』の絵解き説教を行い、教線を広げてきました。

 現在も西山派の僧侶たちは一定の修行が進むと、「曼陀羅相承」と呼ばれる儀式を経て、曼陀羅の絵解きができるように訓練を受ける伝統が受け継がれています。

 

 『當麻曼荼羅』の模写は何度も行われていますが、特に有名なのは室町時代に作られた「文亀本當麻曼荼羅」と、江戸時代に作られた「貞享盆當麻曼荼羅」です。

 今回、奈良博物館の展示の中心になったのは、この「貞享本」の修理の完成を記念したお披露目でした。

 

 慈雲寺にも16分の1サイズ(それでも結構大きい!)の模写があります。毎年、春と秋のお彼岸の期間中に御開帳をしています。

 虫眼鏡も用意してありますので、ご自由に本堂を上がり、お近くでじっくり彼岸(極楽)の様子をご覧ください。(つづく)