慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

「夢告」という宗教体験

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 今朝がた、とてもはっきりした夢を見て目が覚めました。その時は、夢の内容がありありと記憶に残っていたのですが、着替えたりしている間に曖昧になってしまいました。でも、かつて御恩になったKさんのことだったのは覚えています。Kさんは、私が旅行ライターになったきっかけを作って下さった方です。ですから、「かつて」ではなく、御恩は今も続いていると言うべきでしょう。ご無沙汰していることが気になって、夢となったのでしょうね。さっそく、今夜、お手紙を書いてご無沙汰をお詫びしようと思います。

 ところで、フロイトを始めとして、多くの心理学者が「夢」に興味を持っています。人の心の奥にあるものが夢になって浮かびあがってくるからでしょうか?

 仏教では、仏様や高僧などに夢の中で出会い、教えをいただく宗教体験を「夢告」といい、とても大切にしています。有名なのは、法然源空上人(法然上人)が夢の中で、善導大師と出会い、阿弥陀仏の教えを受け継いだとされる夢告です。善導大師は法然上人より500年ほど前に生きていた中国の高僧。中国で浄土教を確立した方です。

 夢の中での出会いは、現実の出会いと全く同じ意味があるとされ、場所や時を超えて、善導大師と法然上人の間には師弟関係が結ばれたと考えられています。善導大師は阿弥陀仏の化身という信仰もありますので、法然上人はその浄土思想が阿弥陀仏から直接授かったとすることもできるわけです。

 この他にも、聖徳太子と夢の中で出会った親鸞聖人の信仰体験などが有名ですね。

 もちろん、夢で見たことが全て現実とされているわけではありません。正しい宗教体験なのか、単なる悪夢なのかを見分ける力も必要なわけで、夢告の解釈は難しいものがあります。

◎今日の写真は、根津美術館で見た、中国の石仏です。