先日、Kさんが慈雲寺を訪ねてくださり、「今月からお月参りを再開して下さいませんか?」との相談でした。
慈雲寺は少々特殊な立場のお寺で、江戸時代からの意味での「檀家」はありません。しかし、先代までは、近くの大寺のお手伝いとして、周辺のお宅に月参りの「代参」をしていました。先代が老齢となり、月参りができなくなると、代わりの僧侶も来ることがなくなり、月参りの習慣もそのままになっていました。
しかし、私が慈雲寺に赴任してから、少しずつ月参りを頼んで下さるお家が増えてきました。
「お隣から庵主さんのお経の声が聞こえてきたら、うちの仏壇でもう長い間どなたにもお経をあげていただいていないのに気が付いて、寂しくなった。」と言ってくださるかたもいます。
毎月、僧侶という「他人」を家の奥(仏間はだいたい家の奥にあるので)まで入れるのは、いろいろ気を遣うことです。月参りを止めても、別に罰が当たった様子もないし・・・ということでしょうか?
しかし、月参りにはさまざまな功徳があります。部屋を片付け、仏壇の掃除をし、お花を替えて、お供えを整える・・・僧侶を迎えて読経をしてもらうだけではなく、その時に胸につかえていること、嬉しかったこと、悲しかったことを少し話してみてはいかがでしょう?
僧侶にとっても、月参りは檀信徒と直接出会える大切な場です。
毎月のお参りが時間的その他で負担が大きいなら、祥月命日やお彼岸の日などにお参りしていただくというのはどうでしょう?お盆の棚経もおすすめですが、多くの僧侶は「棚経に走り回る」という状態になりますので、できれば日にちを少しずらす(7月盆や8月初頭)と良いでしょう。
仏壇を貴方の心が安らぐ空間に変えてみませんか?いや、「変えて」というのはおかしいですね。もともと仏壇は、仏様と貴方が向き合う祈りの場なのですから・・・
でも、仏間のしつらえ、花や床の間の軸などなど、自分の「お気に入りの場」になるように変えてみてはどうでしょう?仏間のない家、仏壇の無い家なら、どこか、あなたにとって安らぐ場所を作って、小さな仏像をお祀りしてはどうでしょう?今は、小さくて、モダンなデザインの仏壇もたくさんあります。
慈雲寺は、こうしたご相談にいつでも応じさせていただきます。お気軽にお訪ねください。
◎今日の写真も東京の根津美術館で見た、中国の石仏です。