先日、ある方とお話しをしていました。とりたてて特別な話題ではなく、軽い“茶飲み話”のような感じだったのですが・・・しばらくすると、なんとなく違和感を感じるようになりました。話し方は上品だし、とりたてて誰かの悪口を言うわけでも、愚痴というわけでもないのに、なんとなく違和感・・・・
しばらくして、ようやくその違和感の原因らしきものに気が付きました。その方は、実に記憶力の良い方で、何十年も前のことを事細かに記憶していらっしゃるようなのですが、話の中に出てくるのは「私はAさんにこんなことをしてあげた。Sさんにはこんなものを買ってあげた。Dさんにはこんな風に手助けしてあげた。」というふうに「してあげた」ことが延々と続くのです。してあげた時期も、買ってあげたものの値段も細かに憶えているのです。聞いている私は「はぁ・・・それは良いことをなさいましたねぇ」とお応えするばかり・・・・
違和感の原因は、その人の口から、「して貰った」事が一度も出てこなかったからのようです。そんなに周囲の人を助けているのに、だれも恩返しをしなかったのでしょうか?誰も感謝もしなかったのでしょうか?う~~ん
ずいぶん、恩知らずの人に囲まれているのですね。その人がしてあげたことが、本当に望まれていたことなのでしょうか?ただのおせっかいと思われていた?
それとも、その人は、してあげたこと”だけ”憶えていて、して貰ったことはスルリと忘れてしまう人なのかも?
人はしてあげたことは長く憶えているけれど、してもらったことは忘れがちです。でも、何かの見返りや恩返しを期待して「してあげて」も、相手は心から感謝するでしょうか?
「してあげたこと」はサッサと忘れて、「して貰ったこと」は心に刻んでおくのが幸せの秘訣です。
◎今日の写真は二年前の10月2日に、カナダのメープル街道で撮った楓の紅葉です。