「花の香は風の流れにさからわない
栴檀も伽羅もジャスミンも
けれど善い徳のある人々の香は
風に逆らっても進む
四方八方にその徳は流れていく」 『法句経』より
瀬戸内寂聴さんの『美しいお経』という本は、仏典の中から瀬戸内さんがお選びなった言葉に、彼女の短い解説が付けられています。
さらに、宮沢賢治など仏教に影響を受けたと思われる文章も含められているところが面白い。瀬戸内さんの柔らかな心が表れているようです。
この本は私の身近にあって、ちょっと出かけるときにバッグの中に入れることがあります。熱心に最初から最後まで読み通すのではなく、気が向くままにパラパラ・・・失礼とは思いますが、これも読者の特権かしら?
冒頭に示したお経も、この本の中にありました。「何と美しい気持ちのいいお経でしょう。」と彼女の解説の冒頭にありました。私もまったく同感です。
穏やかに阿弥陀様のお慈悲に包まれて生きる念仏者も、やさしげな香りを漂わせているような気がします。伽羅やジャスミンのようなはっきりした香ではないかもしれませんが・・・