慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

正直に言おう。私はラスベガスが好きだ!

 誤解を招かないように言い添えると、私はギャンブルには興味無い。でも、ラスベガスが大好きだった(過去形)

 HULUで「CSI」の最初のシリーズが再放送されています。物語の舞台はラスベガス。番組を見ていたら、自分がどれほどラスベガスが好きだったか、今でも好きだという気持ちが大分残っていることに気が付きました。

 北米の旅行ガイド本を書いていた時や雑誌の取材などで、毎年数回はラスベガスに数日滞在していました。ラスベガスの周辺は荒涼とした乾燥地帯ですが、山脈の頂上付近には雪も降る。地形や気候、植栽も面白い。そしてもちろん、その荒涼とした大自然の中に、突然蜃気楼のような都市が現れるのが面白いのです。

 

 仏教では、私たちは自分の思い込みによって、幻を見ていて、本当の姿をありのままに見ることは非常に困難だと教えています。

 ラスベガスこそ、私たちが作り上げた「幻」の象徴です。パリからベニス、エジプトまで、世界のあちこちが再現されています。人々は「本物」ではないことを知ってはいても、なお「パリみたい!」「ベニスみたい!」で喜んでいるのです。

 アメリカ人の多くはパスポートを申請したことがなく、外国旅行にもあまり興味がないとされています。ラスベガスのエッフェル塔やゴンドラで満足なのかもしれません。

 特に興味深いのは、上の写真に映っている「ニューヨーク」を再現したホテルです。本物のニューヨークが自国にあるのになぜ?と思ったのですが、ラスベガス在住の友人は「本物のNYは治安も悪いし、ホテル代も高い。ラスベガスのホテル内なら、安全だし、NYの有名レストランもある。そのうえギャンブルできるし」と笑っていました。本物より、「幻」の方がいい・・・・私たちの人生にも似たようなことがありそうです。

 私はエジプトを再現したホテルがお気に入り。ツタンカーメンの墓が発見されたときの様子を忠実に再現したものもあります。実際のエジプトのツタンカーメンの墓跡に行ったときは、暑くてすっかりへたばってしまった上に、墓の内部にはほとんど何も残っていませんでした。それを見ながら、つい「ラスベガスのツタンカーメン墓の方がおもしろかったなぁ」と思ってしまったことがあります。幻の方に惹かれるなんて我ながら情けないですが、たまには「嘘の世界」で遊んでみたいというのも、正直な気持ちです。