上の写真は、世界各地で難民の支援活動などを続けている日本国際ボランティアセンターからお借りしたものです。
私はこの活動には直接は関わっていませんが、ガザ地区への緊急支援を実施することになったというメッセージに心を動かされています。
今日はクリスマスです。ナザレに生まれたイエスは今、どこでどのような思いでイスラエルの状況を眺めているのでしょうか?
私は大学院で比較宗教哲学史を専攻したのですが、修士論文のテーマは「終末論」でした。当然、ユダヤ教もイスラム教も見るのですが、シオニズムを終末論から見るというのを指導教官の一人から教えられました。
そこで文献を読み始めたのが、ナフマン・シルキンという社会主義シオニストと呼ばれる人です。現在、彼のことを研究している学者はほとんどいませんし、忘れられていると言っても良いでしょう。しかし、彼がアメリカのユダヤ系労働者に与えた影響は大きく、イスラエルの誕生に、アメリカからの支援運動を盛り上げた原動力になった人の一人だと私は思っています。
シルキンは、イスラエルの建国にはパレスチナの人々の協力が不可欠だと繰り返し強調しており、シオニズムの一方的な”理想”を押し付けては、必ず混乱と紛争を巻き起こすと予言していました。
今となっては、彼の理想とする社会主義は現実的とは言えません。しかし、彼が憂慮していた状況が起きてしまっていることをとても残念に思います。
紛争の解決に仏教徒の立場としては、「中道」を勧めるしかないのがつらいところです。ただちに戦闘をやめることが、解決の第一歩でしょう。長期的には、医療や教育など、ガザ地区の人々の生活環境を整えることが、安定した平和につながっていくことでしょう。
今朝の勤行では、世界各地で続いている戦争の終結を祈りました。
ガザの問題はけして、「はるか彼方の問題」ではありません。