慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

会葬御礼に故人本人のメッセージ

 先日、ある方の葬儀に参列しました。その時いただいた会葬お礼品の袋の中に入っていたメッセージが心に残りました。

 会葬お礼のメッセージというと、ほとんどが型どおりの「お忙しいところ、葬儀にご参列いただいてありがとうございます」といったような簡単な文章か、喪主や近親者が故人の思い出を交えながらお礼の言葉とするといったようなものです。

 しかし、その日のメッセージは、どうやら故人が生前に用意していたもののようでした。故人は数年前から、意識が途切れがちだったと聞いていますので、病院で過ごすようになる前に書いたものでしょう。

 極楽往生の覚悟があった人だからこその、明るさを持った内容でした。

 

 文面には、交流のあった方々へのお礼、楽しかった思い出などがつづられ、充実した人生だったと、とても素直な文章で綴られていました。

 これを読んだ人が皆、それぞれの関係を思い出し、故人が作ってくれたご縁を感謝したと思います。

 私は、故人に大きな恩を受けた立場でした。なんの恩返しもできないうちにお別れしなくてはならなかったことが、とても後悔の念になって胸に重くのしかかっていたのですが、それを少し軽くしてくれるような文章でした。

 受けた御恩は、私が次の世代へのご縁を結び、手助けできることを探すことが大事だと教えていただいたのです。

 お別れは哀しいけれど、「俱会一処」という『阿弥陀経』に説かれた言葉のように、やがて極楽で再会できるのですから、それまでは故人に教えていただいたことを折に触れて思い出して、自らの行動を省みたいと思います。