慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

5月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」5月26日10時より行います。テーマは「御祈祷、お守り、お札とは何か」です。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

今月号の『月刊住職』、特集が面白過ぎる!

f:id:jiunji:20161105204950j:plain

 以前もこのブログに取り上げましたが、『月刊住職』という雑誌を定期購読しています。タイトルの通り、仏教寺院の住職の「業界紙」。毎月の特集がなんともツボをついているものばかり。とても優秀な編集者の人がいるのでしょう。

 いつか、ここの編集部から執筆依頼が来るといいなぁ・・・・(ちょっと本気)

 さて、今月も曹洞宗が発表した宗門の公式ラインスタンプ(なかなかGoodなデザイン。使用料は120円)の話題から、「死の不安に悩む者へのケア」という記事まで、なかな充実しています。「無縁墓を整理したら、高価な宝石類が副葬されていた・・・どうすべきか」なんていうシビアな話題もありました。

 私にとって「おお!」と思わず声が出てしまったのは、「位牌などの文字を上手に見せる法」という記事。「上手に書く」ではなく、「上手に見せる」というのがポイントです。「ヘタな字でも字割さえよければ大丈夫!?」とあります。「大丈夫!」ではなく「大丈夫!?」なのが微妙ですが、字で悩む私にとっては大朗報。

 私は乱暴な字を書くわけではありませんが、小学生が頑張って習字をしました・・・という感じ。実は私は子供の時に東京都の書道展覧会で入選しています。都の美術館に展示されたこともある!選者の講評は「元気があって、のびのびしている」でした。子供が頑張ったというところが評価されたらしい。残念ながら、そのレベルから一歩も進まないまま半世紀が過ぎてしまったのです・・・・情けないにもほどがある。

 しかし!そうか、字割りをしっかり考えて書いていけばいいのか・・・しかし、この記事の最後に「日々の練習が大事」とありました。うううう・・・やっぱり・・・・

 写経の会も始めたことだし、私もお写経をしながら練習していくことにいたしましょう。

◎今日の写真は神戸にある白鶴博物館の中庭です。この博物館はお酒で有名な白鶴酒造のオーナーの個人コレクションを集めたものです。昭和初期に建てられて建物もレトロで素敵です。

 

初めての熱田神宮参拝

f:id:jiunji:20161104223056j:plain

 香港系のカナダ人で、今は上海で仕事をしているRさんが、名古屋へ遊びに来てくれました。もう20年以上前からの友人です。会うのは一年半ぶり。話が弾み、偶然入ったブラジル料理のお店もとても美味。良い一日になりました。本当にきれいな三日月も見えたし!

 今回は「外国人らしい観光をしたい」という変なリクエストがあったので、Rさんを熱田神宮にお連れしました。慈雲寺に赴任してから二年半以上たちますし、神宮前駅では何度も下車したのですが、なんと私は熱田神宮に行ったのは初めてでした。

 私は以前、ある場所で第二次大戦直後の熱田神宮周辺の航空写真を見たことがあります。社殿も燃え落ち、悲惨な状態でしたが、それを取り巻く森が燃え残っているのが強く印象に残りました。

 今日訪れた熱田神宮は社殿も美しく、Rさんも「きちんとお参りする仕方を教えて」と聞いてくるほど、外国人にも十分荘厳さが伝わってくるたたずまいでした。

 もっとも、ある外国の団体は傍若無人なふるまいで、参道に唾を吐く人もいてビックリ。Rさんも「耐えられない。恥ずかしい」と嘆いていました。こういう場合、しっかりしたガイドが付いていれば、このように周囲を不愉快にすることも最小限に抑えられると思うのですが・・・・外国人観光客の増加によって、ガイドの質が落ちてくるのではと懸念されるところです。

 慈雲寺は、気軽にお参りできるお寺でありたいと思っています。しかし、阿弥陀様や弘法大師さまの前では、自然に背筋が伸び、手を合わせたくなる雰囲気も大切にしたいですね。

◎今日の写真は郡上八幡市の旧庁舎です。レトロな雰囲気がいいですね。私はこんな和風西洋建築が大好きです。

 

紅葉の御本山参拝ツアー好評です。ホッ・・・・

f:id:jiunji:20161103175658j:plain

 先週から、このブログで総本山光明寺の秋景色の写真をご紹介してきました。

 先月、突然「紅葉の時期に御本山へお参りしたい!」と思い立ってしまい、ばたばたと団参の準備を進めてきました。ところが!ご近所の女性たちは、つい先日、農協の研修で京都へ行ったばかり!さらに、総代様のご近所でも、ほぼ同時期に婦人会の京都旅行が行われるのだそうです。両方とも、ずっと以前から決まっていた旅行。事前にこうした予定を調査してから日程を決めなければだめですよね・・・・・う~~ん・・・・行き当たりばったり過ぎる。

 中型のバスを予約したので、20人は来ていただきたいところです。これ以上、小さなバスにしては長距離の旅は疲れます。う~~~ん・・・・旅行企画は素人ではないはずなのに・・・とハラハラしていました。

 ところが昨日、一度に5人の方が申し込んでくださって、なんとか20人に達しそうです。あと5~6席余裕がありますので、御一緒に出掛けませんか?どなたでも歓迎いたします。

 光明寺は京都の西山の中腹に広がっており、JRの「そうだ 京都行こう」の紅葉キャンペーンに登場してから人気が出てきました。

 このお寺は、慈雲寺の属する浄土宗西山派西山浄土宗)の総本山で、日本にお念仏の教えを確立した法然源空上人(法然上人)の御本廟のあることでも知られています。

 今回の団参では、同じく西山にある柳谷観音へもお参りします。このお寺は弘法大師が開いたという湧き水があり、平安時代から眼病を直してくださることで篤い信仰を集めています。

 団参は11月29日、8時半に出発します。会費は1万円(昼食付)です。慈雲寺までお早目にお申込みください。

一つの場所へたどり着く道は一つではない

 

f:id:jiunji:20161101193535j:plain

 北米の平原地帯に住む先住民の言葉に「一つの場所へたどり着く道は一つではない」というのがあります。

 どこまでも続く乾燥地帯・・・そこを貫く一本の舗装道路。次の町へたどり着くには、その道をまっすぐ進む以外にはない・・・と、思ってしまいがちです。しかし、大自然とともに生きてきた先住民の人々は、舗装道路以外のルートがいくつもあることを知っているのです。

 仏教の教えも同じです。一つの道をひたすら進むことも尊い修行ではありますが、それだけにこだわり、執着してしまっては、「一筋の道」も単なる迷いの道になってしまいます。

 舗装された道だけが道ではないし、まっすぐ進むだけが正しいのではありません。ときどきは立ち止まって全体を見渡してみることも大事でしょう。

 お釈迦さまは、仏の教えを説くとき、相手の性質や能力、その人がおかれた状況や社会環境などによって、説き方を変えています。仏教の宗派がこんなにたくさんあるのも、別に不思議ではありません。

 どの教えが「一番」とか「絶対」とか固執するのは仏教の教えからかえって離れてしまいます。一番、自分の心に「ああ、そうかぁ・・・」と腑に落ちる教えと出会えるのが理想です。

 南無阿弥陀仏のお念仏は、阿弥陀様が「私」のために選んでくださったのだと、ストンと腑に落ちたところから、念仏者の穏やかな日々が始まります。しかし、念仏者は他の道を行こうとする人たちを批判したりはしません。一つの場所にたどり着く道は一つではないからです。

◎今日の写真も慈雲寺の属する浄土宗西山派西山浄土宗)の総本山光明寺の秋景色です。楓の古木が参道の両側から大きく枝を広げ、紅葉のトンネルができることで知られています。

 11月29日に慈雲寺からバスで光明寺へお参りにいきます。紅葉の美しい京都西山へ御一緒しませんか?どなたでも歓迎いたします。会費は一万円(昼食付)です。じうんじまでお早目にご連絡ください。

師を悼む

f:id:jiunji:20161030213631j:plain

 今朝、友人から電話があり、W師が御遷化なさったと知らされました。W師は、慈雲寺が属する浄土宗西山派西山浄土宗)を代表する説教師の一人でした。たしか、まだ60代だったはず。名古屋の近くにお住まいだったので、これからW師のお説教をしばしば聞くことができると楽しみにしていたのですが・・・・

 W師は、後輩の指導にも非常に厳しく、私も貴重なアドバイスを何度かいただいたことがあります。また、W師は自分のお説教の原稿を本として何冊も出版しています。これは、もちろん西山浄土宗の教えを広めるためのものですが、それ以上に後輩の説教師たちに自分の「説教術」を伝えたいという意欲の表れであったと思います。

 W師はお説教をするときはいつも細部まで詳しい原稿を書き、実際の場ではその原稿はほとんど見ないで話されました。何も持たずに説教台を登ることも多かったのですが、そんなときも実は詳しい原稿を書かれていたようです。

 W師はいつも厳しいお顔をして、少々近寄りがたい雰囲気のある方だったのですが、せっかく近くに来たのですから、私ももっと積極的に教えを請いに伺うべきだったと今になって悔やんでいます

 人の命は無常なものです。会いたい・・・と思ったらすぐ会いに行くべきだし、教えを請いたいと思ったら、懸命にお願いすべきです。

 今夜はW師のお書きになったお説教の本を読みながら、お説教の師を悼んで過ごそうと思います。

◎今日の写真は西山浄土宗の総本山光明寺の秋景色です。紅葉は11月の中旬がピークになるでしょう。11月29日に慈雲寺から光明寺へ参拝に行きます。紅葉の美しい時期に御一緒に出掛けませんか?どなたでもお気軽にご参加ください。参加費は1万円(昼食付)です。慈雲寺までご連絡ください。

 

若き日の弘法大師さまに会いに行く

f:id:jiunji:20161029215758j:plain

 先日、神戸の白鶴美術館へ行きました。これはお酒で有名な白鶴酒造の七代目、加納治兵衛が自分のコレクションを展示するために、建物から造った美術館です。そこだけ昭和初期のまま時間が止まったような空間。現代の美術館の建物ではありえないほど、自然光が差し込む展示室です。展示品も少なく、見学者も少なく、ゆったりと贅沢な時を楽しめました。

 加納さんのコレクションは多岐にわたっています。唐時代の見事な銀器や鏡などが中心ですが、私のお目当ては弘法大師でした。この美術館には弘法大師空海の生涯を絵巻にした、重要文化財の『高野大師行状図画』があるのです。今回はちょうど、弘法大師遣唐使として唐へ渡るときの船出の様子を描いた「大師御入唐事」の場面が展示されていました。

 空は暗く、海は荒波の予感・・・そんな中で船に乗った弘法大師は初々しい(可愛らしい??)お顔のまま、落ち着いた様子で座っておられました。展示室には私以外に誰もいなかったので、展示ガラスに顔をググッと近づけて、お大師さまのお顔を拝むことができました。

 実は慈雲寺にも弘法大師さまがお祀りされています。このあたりから知多半島にかけては、知多八十八ヶ所巡礼のように、大師信仰の篤いエリアです。慈雲寺の弘法大師は、他の札所の大師像とはかなり雰囲気が違います。肌もつやつやとした若々しいお姿なのです。私は慈雲寺の弘法さまは、唐から帰ったばかりの頃の様子ではと以前から思っていました。

 しかし、それには少々問題があったのです。唐に渡ったとき、弘法さまは31歳だったはず。平安時代の31歳はもう青年とは言えないでしょう。そうすると、慈雲寺の弘法様は若すぎる!・・・ところが、今回、白鶴美術館で見た「唐へ渡った時の弘法大師」のお姿は若い、若い・・・もうキュート!と言いたくなるレベル。となると、慈雲寺の弘法様はまさに、唐から帰ったばかりでピッタリ!嬉しくなりました。

 

◎今日の写真は、慈雲寺の属する浄土宗西山派西安浄土宗)の総本山光明寺の紅葉です。法然源空上人(法然上人)の御遺骸は、光明寺で荼毘に付されました。この御火葬場跡に祀られているのが勢至菩薩像です。法然上人は勢至菩薩の化身と言われていました。

 11月29日に、慈雲寺から光明寺にバスでお参りします。紅葉の美しい時期に御一緒に出掛けませんか?会費は1万円(昼食付)です。ご希望の方は慈雲寺まで、お早目にご連絡ください。

 

 

何十年ぶりの阪神電車

f:id:jiunji:20161028220319j:plain

 昨日から「旅行読売」のお仕事で神戸に行っていました。三宮から阪神電車に乗って、岩屋という駅で降りたのですが、阪神電車に乗ったのは本当に久しぶり。もしかしたら、何十年ぶりかも?岩屋の次は御影、芦屋とあちこちで用事を済ませました。 

 阪神電車の沿線の町は不思議な雰囲気があります。阪神電車、JR,阪急と、三つの路線がほぼ平行して走っているエリアがあります。大した距離ではないのに、同じ芦屋でも、阪神芦屋駅、JRの芦屋駅、阪急の芦屋川駅では、それぞれ周辺の雰囲気が違います。

 でも、阪神淡路大震災の時、阪神沿線がより被害が大きかったのでしょうか?町の雰囲気が何か新しいというか、「建て直した」という感じ。海岸沿いに大規模な再開発が行われたせいでしょうか?私が子供のころに見た、大きなお屋敷が消えて、いくつかに土地を分割したような住宅があるのにも気が付きました。もちろん、その分割した家も、立派な邸宅なのですが・・・・

 今日、取材した岩屋駅近くの神社も、震災の時にすべての建物が大きな被害を受けたそうです。今は大きな鳥居を始め、本殿や社務所の建物も再建されていますが、倒壊した石製の大きな鳥居の残骸がまだ境内の角に置かれていました。

 久しぶりの阪神電車の旅は、なんだか遠い、遠い場所への旅のようでした。

◎今日の写真は慈雲寺の属する浄土宗西山派西山浄土宗)の総本山光明寺の釈迦堂の縁側です。私はこの小さな庭の楓の木が大好きで、よくこの縁側で日向ぼっこをしながら楓を眺めていました。釈迦堂は『大奥』を始め、たくさんの映画やテレビのロケ地として使われています。

 11月29日に慈雲寺から光明寺にバスでお参りをします。紅葉の美しい季節に御一緒にお参りしませんか?どなたでも歓迎いたします。なお、眼病平癒で平安時代から信仰を集めている柳谷観音にもお参りをします。柳谷観音の庭園も紅葉がきれいです。会費1万円(昼食付)。慈雲寺までご連絡ください。