慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

若き日の弘法大師さまに会いに行く

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 先日、神戸の白鶴美術館へ行きました。これはお酒で有名な白鶴酒造の七代目、加納治兵衛が自分のコレクションを展示するために、建物から造った美術館です。そこだけ昭和初期のまま時間が止まったような空間。現代の美術館の建物ではありえないほど、自然光が差し込む展示室です。展示品も少なく、見学者も少なく、ゆったりと贅沢な時を楽しめました。

 加納さんのコレクションは多岐にわたっています。唐時代の見事な銀器や鏡などが中心ですが、私のお目当ては弘法大師でした。この美術館には弘法大師空海の生涯を絵巻にした、重要文化財の『高野大師行状図画』があるのです。今回はちょうど、弘法大師遣唐使として唐へ渡るときの船出の様子を描いた「大師御入唐事」の場面が展示されていました。

 空は暗く、海は荒波の予感・・・そんな中で船に乗った弘法大師は初々しい(可愛らしい??)お顔のまま、落ち着いた様子で座っておられました。展示室には私以外に誰もいなかったので、展示ガラスに顔をググッと近づけて、お大師さまのお顔を拝むことができました。

 実は慈雲寺にも弘法大師さまがお祀りされています。このあたりから知多半島にかけては、知多八十八ヶ所巡礼のように、大師信仰の篤いエリアです。慈雲寺の弘法大師は、他の札所の大師像とはかなり雰囲気が違います。肌もつやつやとした若々しいお姿なのです。私は慈雲寺の弘法さまは、唐から帰ったばかりの頃の様子ではと以前から思っていました。

 しかし、それには少々問題があったのです。唐に渡ったとき、弘法さまは31歳だったはず。平安時代の31歳はもう青年とは言えないでしょう。そうすると、慈雲寺の弘法様は若すぎる!・・・ところが、今回、白鶴美術館で見た「唐へ渡った時の弘法大師」のお姿は若い、若い・・・もうキュート!と言いたくなるレベル。となると、慈雲寺の弘法様はまさに、唐から帰ったばかりでピッタリ!嬉しくなりました。

 

◎今日の写真は、慈雲寺の属する浄土宗西山派西安浄土宗)の総本山光明寺の紅葉です。法然源空上人(法然上人)の御遺骸は、光明寺で荼毘に付されました。この御火葬場跡に祀られているのが勢至菩薩像です。法然上人は勢至菩薩の化身と言われていました。

 11月29日に、慈雲寺から光明寺にバスでお参りします。紅葉の美しい時期に御一緒に出掛けませんか?会費は1万円(昼食付)です。ご希望の方は慈雲寺まで、お早目にご連絡ください。