慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

5月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」5月26日10時より行います。テーマは「御祈祷、お守り、お札とは何か」です。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

念佛行者徳本の足跡をたどる展覧会へ

f:id:jiunji:20170822214208j:plain

 先日、江戸時代後期に活躍した念仏者、徳本上人の歴史や教えをたどる展覧会を西宮市の郷土資料館まで見学に行きました。

 徳本上人は18世紀の終わりから19世紀の初頭にかけて、和歌山から近畿、江戸まで、各地で熱狂的な信者を多数集めた念仏行者です。

 上の写真は、徳本上人が独特のスタイルで書いた南無阿弥陀仏のお名号です。この名号を彫った石碑は全国に1000塔以上あり、その影響力の大きさが偲ばれます。

 私は恥ずかしながら、つい最近までこの念仏行者のことを知らなかったのですが、旅行読売の取材で和歌山市のあるお寺を取材に行ったとき、徳本名号の石碑を見てびっくりしたのです。なんだか妙に迫力があって、不思議な書体です。

 それから、和歌山の南部へお説教に行くと、そのお寺に徳本上人の書が残されていたり、平等院へ行くと宝物館で徳本上人ゆかりの品が展示されていたりと、あちこちでご縁ができてくるから不思議です。

 徳本上人は、大きな木魚をガンガン叩きながら、大声でお念仏を続けたとか・・・押し合いながら称和していた群衆の中には失神するものもいたそうです。

 徳本上人は、現世利益のパワーを示しながら人々を導きました。病気を治したり、怨霊を鎮めたり、自殺者を回向したら、その池では二度と自殺者が出なくなった、などなど・・・なんともパワフルです。とりわけ、きっぱりと女性もそのまま往生できると説いたことから、女性信者も急増したそうです。

 西宮の展示品の中には、上人の爪や髪の毛まで、信者が大切にしてきたことを示す資料がありました。

 徳本上人のお念仏の理解は、念仏をできるだけたくさん称えることを重視しています。私が信じ、学んでいる法然上人から証空上人へ受け継がれた教えとは大きく違うものではありますが、そのパワーと布教の巧みさにはとても興味があります。

 西宮の展示は小さなものでしたが、徳本上人の足跡を丁寧に追ったもので、遠くまで出かけた甲斐が十分にあったと思いました。

 

9月の尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は9月24日(日曜)に行います。テーマは「彼岸へ至る道の歩み方」です。

f:id:jiunji:20170820201308j:plain

 今日は8月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」を行いました。暑さがまだまだ厳しいなか、30名を超える方々にいらしていただきました。こうして、毎月、皆さんと一緒に仏教を身近に感じていただく話題を取り上げて学んでいきたいと思います。

 来月は9月24日の日曜日、10時から行います。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

 来月はちょうどお彼岸の期間中に行いますので、お彼岸をテーマにお話ししたいと思います。お彼岸は、日本人の文化に深く根を広げている先祖崇拝と仏教が結びついた日本独自の宗教行事です。今生きているこの世(此岸)からお浄土(彼岸)に渡って行くための道筋と、そこを歩む仏教徒の暮らし方、修行の在り方などについて、改めて考えてみましょう。

◎今日の写真は、カナダのブリティッシュコロンビアにあるオカナガン湖の夏の風景です。

8月20日10時より、「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」を行います。お数珠について改めて学んでみましょう。おお数珠繰りも体験できます!

 

 

f:id:jiunji:20170819070107j:plain

 先日、本堂の裏手の棚を掃除していたら、大数珠繰りにつかう大きな数珠が出てきました。大数珠繰りというのは、上の絵にあるように、大きな数珠を囲んで、皆でお経やお念仏を称えながら、数珠繰りをするものです。

 今月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は8月20日(日曜)10時より行います。テーマは「お数珠ってなんでしょう?」

 お数珠の歴史や功徳について学んでみましょう。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

 慈雲寺の行事は基本的に無料ですが、お寺の維持のためにお気持ちを御喜捨いただければ有難く存じます。

 できれば、日常使っていらっしゃるお数珠をご持参ください。

 講座の後、皆さんで大数珠繰りを行います。健康に功徳があるとされていますので、ぜひご参加ください。

◎慈雲寺へのアクセス

 慈雲寺には十分な駐車場がありません。名鉄有松、栄バスターミナル、地下鉄徳重などから、公共交通をご利用いただけるとありがたく存じます。慈雲寺へのアクセスは、下のURLにある記事の中に詳しく記載されています。

http://jiunji.hatenablog.com/entry/2017/04/15/212331

二万七千年前の日本人も墳墓を造っていた!

f:id:jiunji:20170818213706j:plain

 お盆の間中、なかなかゆっくり新聞が読めなかったのですが、今日は一日中たまっていた新聞三昧でした。

 いろいろと興味深い記事があったのですが、その一つが石垣島で見つかった、日本最古とみられる二万七千年前の人骨です。しかも、その人骨は明らかに「葬られた」とみられているのです。

 人が死亡した時、周囲の者たちが何らかの「葬送儀礼」を行うということは、「文明」の一つの証と言えるでしょう。しかも、生活の場とは別に、埋葬の場を設けていたということも、今回の発掘で明らかになったそうです。

 旧石器時代に生きていた人々が「死」にたいして、何らかの「思い」(畏怖かもしれませんが)を持っていたということは、とても興味深いことです。

 人を悼み、葬ることは人としての大切な文化なのです。今、まるで物を処分するかのように遺体が扱われ、故人を偲ぶ儀礼を失っていくということは、私たちが大切な文化を放棄することでもあるのです。

 祖先との「良きご縁」を大切にし、信仰を持って生きる人は、人生の基盤がしっかりしているということです。生きていく上での困難を乗り越える、根本的な拠り所を持っている人だと思うのです。

◎今日の写真は、カナダのワインの里として知られるオカナガンで見た、夏花の寄せ植えです。

 

お盆の送り火の後で・・・

f:id:jiunji:20170817173059j:plain 

 お地蔵様の花の水を替えようと墓地へ行きました。ここ数日、雨や曇りの日が続いたせいか、お盆のお墓参りで供えられたお花の多くはまだ綺麗でした。家族を思う気持ちの込められた花が一日でも長く枯れないでいてくれればと思いました。

 慈雲寺には小さな墓地がありますが、ほとんどのご家族は別のお寺の檀家さんです。ですから、お盆の間も、他のお寺のように一日中棚経に回るということはありません。しかし、少しずつ盆中の読経をたのんでくださる方が増えてきています。このご縁を大切にして、お墓の御守りをさせていただきたいと思っています。

 15日は終戦記念日でした。あの年のお盆はどのようなものだったのでしょうか?どれだけの人々が新たな死者のために祈ったのでしょう。手向ける花はあったのでしょうか?重い気持ちは、送り火の後も心に残っています。

 戦争を実体験した人が年々少なくなっていく今こそ、不戦への決意を新にしなければなりません。人殺しで問題が解決するわけがないからです。

◎今日の写真はインドで見た花の象眼です。

8月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は8月20日(日曜)です。テーマは「お数珠って何でしょう?」

f:id:jiunji:20170815060202j:plain

 慈雲寺では、毎月「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」を行っています。慈雲寺は浄土宗の西山派(西山浄土宗)に属していますが、講座の内容は仏教全体に共通する「仏教の考え方、ものの見方」を基本にして行います。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

 8月は20日の日曜日、10時より行います。テーマは「お数珠ってなんでしょう?」です。

 数珠(念珠)は、お寺参りやお墓参りには欠かせないものですが、なぜお数珠が必要なのでしょうか?お数珠の歴史や意義を改めて学んでみましょう。

 講座が終了後は最近、慈雲寺で再発見された大数珠を使って、皆さんで大数珠繰り(百万遍念仏)をいたします。

 心が穏やかになり、心身の健康につながると言われる大数珠繰りに、ぜひご縁を結んでください。

 慈雲寺で行われる行事は特別な場合をのぞいて無料ですが、お寺の維持のためにお気持ちを御喜捨いただければ有難く存じます。

☆慈雲寺へのアクセス

大変申し訳ありませんが、慈雲寺には十分な駐車場がありません。なるべく、公共交通をご利用くださいませ。名鉄有松駅、栄バスターミナル、地下鉄徳重駅、JR大高・南大高駅などからバスが出ています。

 詳しくは下の記事をご参照くださいませ。

 

jiunji.hatenablog.com

◎今日の写真は、インドのタージマハールです。

 

木魚の音はバイ(バチ)しだい

f:id:jiunji:20170814205420j:plain

 月参りやお盆の棚経などで、各家のお仏壇の前でお経をあげさせていただきます。

その際は、そこのお宅で使っていらっしゃる仏具、おリンと木魚を使わせていただきます。各家で、おリンも木魚も音色が全く違います。その違いを味わうのも、お参りに行かせていただく喜びの一つです。

 自分のお経の発声と、木魚の音、おリンの音色がぴったり!と思うこともあって、そうなると読経もつい力が入ります。心地よく声が出るのです。

 今日、お盆の棚経でうかがった、あるお宅の木魚は、一見するとなかなかの高級品のようです。彫られた魚の姿も美しい・・・しかし、音が綺麗に響かないのです。なんだかポスポスという感じ・・・それぞれの木魚には、叩くと反響が一番綺麗な場所というのがあります。そのポイントにきちんとバイを当てることができるかも大切なことです。その木魚はどう打ってもポイントにヒットしません。

 木魚を打つ道具は、バイと言います。「倍」の字の人ベンを木ヘンに替えた字です。バチといっても通じると思います。

 さて、木魚の音にとって、バイは非常に重要です。もし、お宅の木魚の音が前ほど綺麗に響かないなら、仏具屋さんで新しいバイをお求めになるのをお勧めします。バイは消耗品と考えてください。

 少々値段ははりますが、頭の部分がシリコン製のバイも最近売り出されています。この反発力、音の響きかた・・・・なかなかいいですよ。

 木魚は納得いくまで叩いてから買うということができにくいですが、お気に入りの木魚に出会えた人は幸せです。毎朝の読経がきっと楽しくなるでしょう。