慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

5月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」5月26日10時より行います。テーマは「御祈祷、お守り、お札とは何か」です。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

「過去帳」を作ってみませんか?PART2

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                   (仏縁堂)

 

 上の画像は、仏縁堂さんのサイトからお借りしたものです。過去帳に書き込む内容がとてもわかりやすく書かれているのでご紹介しました。

 亡くなられた日、戒名、俗名、享年(行年)などの他に、子孫とのつながりや、亡くなられた方の略歴なども記入されています。

 この記述の優れている点は、子孫とのつながりと略歴が記入されている点です。多くの過去帳は、戒名(法名)、俗名、命日、享年だけで、その人がどんな人だったのか全く不明です。

 正式な過去帳を作ることをまずおすすめしたいですが、それと並行して「ご先祖エピソードノート」を作ってみるのをおすすめしたいと思います。

 ご先祖の情報を集めるのです。ご先祖の「人生」についてや「人となり」について、できるだけたくさん情報を集めて、記入していくノートです。ルーズリーフのように、新しい情報が入ったら、どんどん足していけるといいですね。矛盾する情報や解釈の違いもどんどん受け入れて蓄積していくと良いでしょう。

 ご先祖については、「ご先祖を大切に」というわりには、それぞれの人の人となりやエピソードが案外伝わっていません。兄弟姉妹の数が少なくなっているので、さらに情報が消えてしまいがちです。

 お盆や法事、結婚式の時などに、親戚にであったり、ご近所の方に出会ったときに、ご先祖の思い出を話してもらうと良いでしょう。良い話ばかりでなくても良いのです、「頑固だった」とか「こんなことに妙にこだわる人だった」などのエピソードもとても大事です。

 こういう過去帳のエピソードが豊富になるにつれ、自分の人生が多くの人々の縁につながっていることを改めて知ることになり、人生が豊かになっていくことでしょう。

 まずは、自分が直接聞いた、見たこと、伝聞などなど、自分が知っているご先祖のエピソードから書き溜めてみませんか?

「過去帳」を作ってみませんか?PART1

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                (写真:稲葉仏壇店)

 だいぶ長い間、ブログの更新をなまけていたので、昨日友人から安否確認の電話をいただいてしまいました。「暑いし、お盆でへたばってたの~~」と返事をしたら、「私の50分の1ぐらいしか忙しくなかったのに、ヘタレすぎる!」と叱咤激励されてしまいました。確かに友人は早朝6時前から夜の8時近くまで棚経に回っていますから、檀家ゼロの慈雲寺と比べると、50倍ではすまないかも??

 コロナに打ち勝つためにも、来年のお盆のためにも、基礎体力を増強して、免疫力を上げねば!と決意。そのためには睡眠だ!と、昨夜は早めに眠って、今朝もお寝坊させていただきました。

 いや、こんな話はどうでも良いですね。おかげ様で、今年のお盆も無事に乗り越えることができました。ありがとうございます。

 

 さて、檀家の無い慈雲寺でも、何軒かのお宅で棚経をたのんで下さいました。今年は特に、実家へ帰省するのをひかえた方も多く、「お宗旨が違うのですが・・・」とご連絡をいただいたりしたのです。

 こんな風にご縁が結ばれるのはとても嬉しいことです。

 さて、ここ数年、棚経に行くたびに感じるのは、「過去帳」の大切さです。上の写真は名古屋の稲葉仏壇店のサイトからお借りしたものです。過去帳の書き方は宗派によって違いますが、多くの宗派では、上のような過去帳にご先祖の戒名、命日、俗名、行年などを書き込むものです。

 大きな仏壇にたくさんのお位牌が並んでいるような場合、全ての方の戒名を読み上げるのは難しくなります。奥の方にあるものは見にくいし、古くなって位牌の字が読みにくくなっていたりもします。こんな時、過去帳があると、とても便利です。

 過去帳は、菩提寺にお願いしてご住職に書いていただくのが多いと思いますが、正式な過去帳の他に、自分たちで、「ご先祖ノート」を作ってみるのもおすすめです(つづく)

お盆には亡き人のディテールを思い出して

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 極楽へ迎え取られた人は、6つの神通力を持つことができるとお経の中に説かれています。その神通力の一つに、「場所や時間にとらわれず、どこへでも行ける」というのがあります。私たちが亡くなった人のことを思うとき、必ずその思いに寄り添ってくれることができるのです。お盆にならなければ帰ってこられないわけではありません。

 しかし、私たち日本人にとってお盆はやはり特別な時期です。お墓や仏壇を清め、お寺にお参りして、祖先のことを思い、亡き人を彼岸から此岸へ迎える特別な日々なのです。

 この特別な日々をどう過ごしていけば良いでしょう。いろいろお勧めしたいことはあります。精霊棚の飾り方やお供えの仕方にこだわるのも大切ですが、「亡き人を思う」ことが一番大事なのではないでしょうか?

 その「思い出」はさまざまでしょうが、この特別な日々の間は、特にディテールにこだわってみませんか?故人が語った言葉を思い出すなら、その時の声の調子や張り、目の輝き、手の動き、着ていた服を思い出してみませんか?

 好きだった食べ物を思い出すなら、一緒に出掛けたレストランのこと、その時に状況、出会った人々などなど・・・細部にこだわって思い出してみましょう。

 自分が何を細部までおぼえていたかを知ると、思い出の意味が変わるかもしれないし、深まるかもしれません。

 その時に同席していた人がいるなら、自分の記憶と比べてみてはどうでしょう?記憶というのはとても不思議なもので、同じ場所にいて、同じ言葉を聞いたとしても、記憶の残り方は大きく違うこともしばしば。

 今年は帰省をあきらめる人も多いかもしれませんね。たとえ会えなくても、電話で話しても良いし、自分の記憶を手紙にしてみるのもおすすめです。

 

◎今日の写真はご近所の畑のトマトです。今年は梅雨が長かったので、野菜を育てるのはなかなか大変だったようです。

お盆の用意は、まず仏壇周辺の片付けから

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上の写真は、インターネットの画像からお借りしました。ギャラリー・メモリアという会社が出している現代風の仏壇と、お盆用のお供えです。とても素敵だと思うのですが、これは「お位牌の飾り棚」であって「仏壇」ではありませんね。阿弥陀様やお釈迦様などの仏像や仏画があってこその仏壇です。ご本尊無しで、亡くなられた方のお位牌だけを祀るだけなら、これはナイスなデザインの「精霊棚」というべきでしょう。

 仏像や仏画をお祀りし、家の中に小さな「聖なる場所」をつくるのがお勧めです。「墓守は兄弟がやっているので、家に仏壇はない」という方もいらっしゃるでしょう。しかし、家の中に小さくても良いので、特別な場所を作り、ご本尊とお位牌をお迎えしてはいかがでしょう。位牌を置くスペースが限られているなら、過去帳の写しを用意しても良いと思います。

 家に仏壇があるという方は、仏壇そのものの掃除だけではなく、周辺に積んであるお線香やろうそくなどを片付けると、とても気持ち良くお盆を迎えることができます。

 葬儀などの時に、いろいろな方からたくさんお線香をいただいたけれど、とても使いきれない・・・という方は、菩提寺やご近所のお寺に相談してみてはどうでしょう。「うちは決まったお線香しか使わない」と言われる可能性もありますが、慈雲寺ではお線香やろうそくのお供えは大歓迎。お線香は古いものでも、十分に使える可能性が高い。保存しているうちに形が変形してしまったようなろうそくも、朝の勤行のときなどにありがたく使わせていただきます。

 毎日違う香りのお線香を体験できるなんて、嬉しくてわくわく。 

8月の慈雲寺 行事とお盆参りのお知らせ

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 昨日は梅雨のフィナーレのような激しい雷雨。そして今日は早朝から夏らしい強い日差しになりました。裏庭のジャングルがすさまじいことになっています。

 さて、8月の慈雲寺の行事のお知らせです。いずれの行事も、どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

◎8月4日 夜7時半より 「満月写経・写仏の会」

 慈雲寺では、毎月満月の夜にお月見を兼ねて写経と写仏の会を行っています。8月の満月は5日ですが、法務のため、申し訳ありませんが今月は一日前倒しして4日に行います。

 どなたでもお気軽にご参加いただけます。必要な用具は全て用意してあります。

◎8月30日 10時より 「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」

今月のテーマは「”諦める”とは何か」です。仏教の最も根本的な教えを凝縮した言葉に「四諦」があります。この「諦」は、ギブアップの意味とは全く違います。

 お釈迦様がお示しになった「諦める」の意味をご一緒に考えてみましょう。

 「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、講座とタイトルについていますが、どなたでもお気軽にご参加いただけるお話を心がけています。

 

☆残念ながら名古屋周辺でも、新型コロナの患者が増えています。外出自粛要請などが出された場合は行事を中止することもありますので、ブログをチェックしていただきたいと思います。

 

◎お盆のお参りについて

 新型コロナの問題などで、菩提寺やお墓参りに行きにくいという方は、慈雲寺にお位牌(または戒名を書いたもの)をご持参いただければ、宗派にかかわらず御供養させていただきます。

 慈雲寺までお問合せ下さい。

 電話052-621-4045

 

 

八月の「満月写経・写仏の会」は、勝手ながら一日前倒しにさせていただきます

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 慈雲寺では、毎月満月の夜にお月見を兼ねた写経と写仏の会を行っています。

 8月の満月は5日になのですが、勝手ながら一日前倒しとさせていただきます。申し訳ありません。

 8月4日午後7時半より行います。

 7時半から、皆さんとご一緒に『般若心経』の読誦を行い、毎月少しずつ心経の内容についてもご一緒に学んでいきましょう。

 

 用具など、必要なものは全てご用意いたします。写経は初めてという方も、気軽にご参加いただけますので、どなたでも歓迎いたします。

 

 また、慈雲寺では、本堂が開いているときは、いつでも自由に写経をしてしていただけるように用意をしてあります。初めての方は、庫裏にお声がけいただければご説明させていただきます。

 

 

現実から逃亡するための出家なら、自力の宗派はどうでしょう? Part1

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 前回のブログに、出家を考えている方におすすめの本の話を書いたところ、いつも鋭い質問やコメントを残してくださるももはなさんが

「さっき、尼僧志願のおばちゃまが居たよ。
現実逃避したいみたい
NHKの尼寺の番組とベニシアさんの影響の様です」というコメントを書き込んで下さいました。

 NHKのその番組は知らないし、ベニシアさんも知らなかったので、グーグルで検索してみました。英国貴族の末裔で、大原にお住まい・・・絵になりますね。素敵な方のようです。でも京都には藤原貴族の末裔や旧皇族などどっさりいるし、別に英国貴族でなくても素敵な人はたくさんいるのに・・・キーワードは「英国貴族」かな?と意地悪な気持ちがちょっと湧いてきました。

 

 あ、それはともかく、留学・結婚、そして出家は現実逃避の三大ルート。まあ、仏縁はどんなものでもかまわないし、誰もが必死、真剣に発心しなければいけないというわけではありません。「新しい自動車買ってやるから、本山へ行きなさい」と言われて、いやいや坊主頭にしたお寺の子供が、徳の高い僧侶に成長する例もたくさんあるからです。

 しかし、現実逃避だけで留学しても結婚しても、夢想していたような「幸せ」が展開する率はかなり低いのでは?

 でも、動機はどうあれ、尼僧になりたい人が増えるのは歓迎です。そこで、現実からの逃亡におすすめなのは、厳しい修行を課せられる自力の宗派が良いのではないでしょうか?

 私は、短期間の体験修行(雑誌の取材でした)で、密教系のお寺に入ったことがあります。滝行や長時間の読経、何十回も立ったり座ったりする拝礼など、肉体的な苦行(と言えるほどやったわけではありませんが・・・)は、かなりの達成感がありました。数日であの気持ちになれたのですから、もしかしたら、現実から逃避に成功するか、逃避せずに向かい合う勇気と体力を得ることができるかもしれません。

 実際にきちんと修行したわけではないので、「かもしれない」しか言えないので、無責任な発言になってしまいますが、出家を考えている方には、「修行」のありかたの側面も考えていただきたいと思っています。

◎今日の写真は、カナダ・バンクーバーのスタンレー公園にあるトーテムポールです。今頃のバンクーバーは、湿気の少ない爽やかな青空が続いていることでしょう・・・ホームシック