慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

ご利益について考えてみました(Part1)

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昨日は、「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」の日でした。朝から雨が降っていたので、今日はいらして下さる方が少ないのでは?と思っていたのですが、40人近い方々が来てくださいました。

 テーマは「ご利益」。『法華経』をはじめとして、お経の中には「功徳」ついて述べられたものがたくさんあります。仏の姿を現す像を作ることによって、長生きができるか富に恵まれるなど、たくさんの功徳があると説かれています。また、薬師如来のように、「自分に救いを求めるものの病を治す」という請願を立てて修行をし、悟りを開いて如来になられた方もいます。

 しかし、これらのお経を読んでみると、そうした功徳は、現世で自分の欲望を満たし、都合の良い暮らしをするためのもの(現世利益)ではなく、悟りを開く修行のために良い条件が整うという目的であることがわかります。悟りを得るためには長い時間が必要ですから、健康で長生きできるのは大切なことでしょう。金銭的に恵まれれば、さまざまな布施もしやすくなる・・・・というわけです。薬師如来さまも、人間の最も深刻な「病」である「煩悩」を直して消し去るのが本当の目的では?

 では、現世利益もパワースポットも、迷信と切り捨ててしまって良いのでしょうか?今、病に苦しんでいる人や貧しさにあえいでいる人、孤独に悩む人が、「これを信じれば病気が治る!」という誘いに惹かれてしまう気持ちは良くわかりますね。浄土宗西山派の僧侶として、この問題はしっかり考えていかなければなりません。(つづく)

●今日の写真は、京都のあるお寺の坪庭です。僧侶はものを欲しがってはいけないのですが、こんな素敵な坪庭はあこがれるなぁ・・・