慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

「ごちそうさまでした。」と言って極楽へ

◎今日のお釈迦さまのお言葉

 賢者は欲楽をすてて、無一物となり、

 心の汚れを去って、おのれを清めよ。

       中村元訳『ダンマパタ』より

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 ずっと以前、知多半島のお寺にお説教に呼んでいただいたとき、聴きに来てくださったNさんからお電話がありました。

 Nさんはお仕事をリタイヤなさってから、各地で開かれるお説教の会や僧侶による講演会に熱心に通っていらっしゃる方でした。松原泰道師の講演などにもしばしば行かれていたようです。

 数年前からご病気になられて、いつお浄土へ行くことになっても不思議はないという状況だったそうですが、余命宣告を聞かされるたびに、「最初にあと1週間程度ですと言われたときも、『ごちそうさまでした』といってお浄土に旅立てる」と思ったそうです。

 「ごちそうさまでした」というのは、なかなかユニークですが、Nさんが可愛らしい声で笑いながらおっしゃると、彼女の気持ちが伝わってきます。さまざまなしがらみや執着にとらわれていると、なかなか「ごちそうさまでした」とはいかないはずです。

 Nさんも、お姑さんや小姑さんたちとの家族関係で心を病むほど苦しんだ時代もあったそうですが、仏様の教えを聴くことによって、少しずつ執着から離れていったのでしょう。

 先日も、病が小康状態になったのでインドの仏教遺跡を訪ねる旅にご夫婦で出かけることができたのだそうです。

 私も皆さんとのご縁のおかげで、楽しいことの多い暮らしです。「ごちそうさまでした」と言って、阿弥陀様のお迎えに会えるといいなぁ・・・あ、この部屋の惨憺たる状態を残していくのはあまりに恥ずかしいから、今日はお浄土へは行けないかも・・・・

◎今日の写真は、東山動植物園の梅林で見た白梅です。月宮殿という美しい名前のついた種類。つぼみにはうっすらとピンク色も入っています。月の光の下で見たら、きっと幻想的な美しさでしょうね。