さきほど、時々「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」を聞きに来て下さる方からお電話がありました。
「庭に咲いた花をお供えさていただきたいのですが、受け取って下さいますか?」と、とても丁寧で遠慮がちなお声でした。私は思わず「大歓迎です!」と大きな声を出してしまいました。
普段、本堂の雨漏りが気になる以外は、檀家ゼロのお寺でもお金の無さが気になることはほとんどありません。しかし、毎年夏になると、時々「うううう~」と思ってしまうことがあります。
仏さまにお供えする花の悩みです。歴代住職のお墓など、一日持たずに花がしょんぼりしてしまいます。本堂の花もせいぜい数日・・・池坊の僧侶たちのように、毎朝工夫をこらした新鮮な仏花をお供えできる経済的余裕があったら、なんと良いことでしょう・・・と情けなく感じるのが夏です。
そんな時、お庭の花をお供えして下さるとは!慈雲寺の先代様は、「仏花は菊」と決めておいでだったようで、そのほかの花は受け入れなかったそうです。もちろん、庭に咲いた華やかな色合いの花はNG.
でも、私は違う考えです。極楽には牛車の車輪のように大きな絢爛たる蓮が咲いているそうですし、色鮮やかな花を仏様はきっと喜ばれると思います。
お墓にお供えする花も、故人が好きだった花や、家族が丹精した庭の花の方が、お店で買ったものより良いではありませんか。
お庭で育てたお花をお供えいただけたら、本当にありがたく存じます。ぜひ、故人やご先祖の思い出話もお聞かせください。