慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

5月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」5月26日10時より行います。テーマは「御祈祷、お守り、お札とは何か」です。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

国際交流の第一歩は宗教的慣習や儀礼への理解

寒い日が続くので、灼熱のイメージの写真をご覧にいれましょう。アメリカのデスバレー。夏になると40度を超える日が続きます。でも、乾燥しているので、影に入れば涼しいですよ。

 

 先日の中日新聞に「技能実習 宗教配慮道半ば」というタイトルの記事が出ていました。「外国人技能実習制度」で日本にやってきたイスラム教徒のインドネシア人の方達が、文化や宗教の違いを巡って、日本人の無理解に苦悩している様子が報告されていました。

 イスラム教徒の女性はヒジャブと呼ばれるベールを着用することが宗教的な義務とされています。また、一日に5回、メッカに向かって礼拝を行ったり、特定の期間に断食を行うことも、イスラム教徒としての大切な宗教的義務であり、「生活」の中の不可欠の行動なのです。

  しかし、私たち日本人は、宗教的な慣習や儀礼に対して、緩やかに考えている人が多いように思います。特定の食物(たとえば豚肉、飲酒、コーヒーなど)を食べることを禁止されている宗教の信者に、「少しぐらいいいじゃないですか。つきあいなさいよ」などと言っているのを見たこともあります。言っている人は、悪気があるわけではなかったようですが、信者の側から見れば最悪のハラスメントです。

 新聞記事によると、ある工場では、機械に巻き込まれるかもしれないからとヒジャブの着用を禁止していたそうですが、現在はベールの種類や着方を工夫するという条件付きで着用が認められているそうです。「機械に巻き込まれるかも」というのは、現実的な危険で、着用を認めないのは当然と考える人も多いかもしれませんが、イスラム教徒にとってはヒジャブを着ないことは「宗教行為の違反」、さらに言えば「神の示した教えへの反逆」にもなりかねません。

 宗教慣習や儀礼を破ることは、多くの宗教にとって、神への反逆、魂の死にもつながる重要な問題です。このことを理解した上で、労働環境を整えていく必要があるでしょう。

 今、私たちは世界からさまざまな宗教の信者を迎えています。外国人労働者を受け入れ、彼らの協力無しには国の産業が回らないという日も近い(もうすでにそうなっている?)。国際協力、交流を円滑に進めるには、宗教的な理解がとても重要です。

 小学生に英語を教えるより、宗教について理解を深める教育に時間を使って欲しいです。その方がずっと国際教育になると思うけど・・・お寺、神社、教会、そしてぜひイスラム教のモスクにも見学に行って欲しいものです。