明日香で出会った小さな石仏
今朝、境内を見回りながら「ああ、菊ももうおしまいだなぁ」とちょっと寂しい気分になっていたら、なんと山茶花が咲いているのに気が付きました。「冬の間は私たちにお任せください!」と言わんばかりに元気良く咲いてくれています。
さて、毎月初めのお楽しみ『月刊住職』が、今月も届きました。この雑誌は、仏教寺院関連の“業界誌”という感じの雑誌で、思想的な記事から、お寺の経済問題に直結する記事など、毎月とても興味深いお話満載です。
今月、最初に目についたのは、最近テレビなどにもしばしば登場する北海道大学大学院教授の櫻井義秀先生がお書きになった「霊感商法を可能にした祖先が祟るという言説になぜ日本人ははまる?!」という、いやに長いタイトルの記事です。櫻井教授はいまや旧統一教会問題のエキスパートともいえる宗教学者です。
その中で、教授はテレビの番組で対談した随筆家の若松英輔さんの発言を紹介しています。若松さんはカルトの要件を以下のように定義しています。
「この教えを信じないと、この儀式をしないと、この献金・布施をしないと災いが生じますよ、地獄に行きますよといった恐怖感によって相手を支配し、信仰心を植え付けようとする団体はカルトです。金銭的な事柄に固執し、信者や社会から搾取を図るような団体はカルトです。この教えに背き、この教団から逃げたら地獄に行くと言って離脱を認めないような宗教はカルトではないか」
櫻井教授は「①恐怖の利用 ②搾取すること ③拘束すること」の三点で、若松さんの示した要件を「実に明快な基準だ」と指摘しています。その上で、櫻井教授は旧統一教会は「①先祖の恨みを解かないと地獄で苦しむ ②霊感商法と高額献金 ③真理(統一教会の教え)を知って背くと霊界で讒訴され永久に苦しむ」と教えて、信者を精神的に拘束しているので、若松氏の指摘するカルトの要件を満たす存在だとしています。
櫻井教授の記事の興味深い点は、上に挙げた①と③は、伝統宗教や新宗教の教義や布教の仕方にも、とらえ方によっては微妙に抵触することがあるとの指摘です。
以前も書いたように、多くの寺院で行っている「水子供養」は、はっきりうたわないまでも、「水子の祟り」といったようなものを遠回しに言うお寺もあると聞いています。また、櫻井教授もしてきしているように、イスラム教では原則的に棄教を認めていません。いったんイスラームの信仰に入ったら、それは生涯、はては死後もイスラム教徒なのです。これは③の拘束に当たるといえなくもないでしょう。
このあたりの線引きが難しいところです。(つづく)