慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

弟子たちのこれからの道のり  女性の出家(その4)

 西山浄土宗法主(管長)から「戒」を授かり、沙弥として仏道を歩み始めた弟子たちの今後の道のりはどのようなものでしょうか?

 沙弥から正式な僧侶になるには、いくつかの段階があります。私は時間的には最短の道のりを歩みました。師僧のお寺で得度し、すぐに西山浄土宗の宗門の短大へ行き、一年間仏教科の講義を受講しました。短大生と同じ授業を受け、試験や論文も同じように提出しました。その講義の単位が全部無事に取れた時点で、「加行」を受けました。

 本山に随身しながら、短大に通い、二年間でより多くの講座を受講しながら、加行を受けることも可能です。随身は自由のほとんどない生活ですから、なかなか厳しいものがありますが、そこから身に着けられるものも多く、一番のおすすめはこの方法です。しかし、残念ながら、今、西山浄土宗の本山では女性を受け入れる体制(宿舎などの問題)が整っていないので、慈雲寺の弟子たちはこの方法をとることができません。

 短大に通うことができない人には、検定講習という制度があります。一年に二回、1週間ほど本山に泊まり込み、集中講義を受けるのです。スクーリングのようなものと考えてください。朝から夜まで講義が続くので、予習、復習の時間も取りにくく、なかなか厳しいものです。この検定講習で資格を得ようとすると、最短でも3年かかります。

 得度し、加行を受け、短大や検定講習の講義や実習を受け、「教師資格」を受けないと、住職となることができません。

 

 加行は、予備期間も入れて17日間本山に籠り、「法」と「戒」を受けるにふさわしい「器」となる修行をします。短大での講義と加行の両方が揃うと、一応「正式な」僧侶ということになります。

 宗派によっては、かなり長い期間の「修行僧」時代が必要なものもありますが、西山浄土宗では、僧侶のスタートラインに立つのはそれほど難しくもありません。しかし、考えようによっては、「ここから先は自分で修行しなさい」と言われるのが非常に早いので、それ以後の僧侶としての成長を望むなら、自分で自分を励ましにながら進んでいかなければなりません。

 さまざまな作法、法式、教学などを時間をかけてギューギューに詰め込まれる方が、かえって楽なのではないかとも言えそうです。

 もちろん、勉強、修行を続けたい僧侶には、宗門はさまざまな機会を用意してくれています。それらにこまめに参加しながら、進んでいかなければならないでしょう。

 

 私が慈雲寺の弟子になって下さった方々にまず願っているのは、仏教徒としての生き方、物の見方、考え方を身に着けることです。全ての行動、思考が、「これは仏教徒としてふさわしいものか?」と自然に考えられる、気づけるようになるのが理想です。あせらず、ゆっくりと、歩を進めてほしいと願っています。