「お布施を法事や葬式の終わった直後に渡すから、供える方も受け取る方も、何だか料金のような気がしてくるんだ」
こう言ったのは、知人の和尚さんです。正直、この言葉を聞くまで、私も直後に受け取るのが当たり前だと思っていました。
「忘れるといけないから」と法事が始まる前に渡して下さる方もありますが、この方も、本来は後から渡すという認識なのでしょう。
知人の和尚さんによると、「法事を行いたいなら、事前にお寺に来て、その時にお布施を渡して、仏様にお供えしてくださいと頼むべきではないか。」とのことです。
確かに、お布施を仏様へのお供えと考えるなら、法事の前にお供えの菓子や果物などを持参するのと同じように、事前にお布施もお供えすべきでしょう。
う~~ん・・・そうかぁ・・・私の中では、納得できない部分もあります。ただ「前払い」という認識になるだけではないのかしらん?
やはり、(その1)に書いたように、財物での布施(財施)が、自分の大切にしているものに対する執着から離れる修行であり、慈悲の心を養う修行なのだということをしっかり檀信徒の方々に理解していただけるように僧侶が努力すべきでしょう。
同時に僧侶の側も、法事や説教をさせていただけるのは、法施という布施行の修行をさせていただいているという認識をしっかりすべきだと思います。そうしないと、お布施が多いとか少ないとかで一喜一憂するという醜いことになりかねません。
私が慈雲寺に来て、一番困った質問は「お礼はいかほど差し上げたら良いでしょう?」という質問です。私の答えは「お布施は料金ではないので、お気持ちでとしかお答えできません」というものです。しかし、それでは困るという方も少なくありません。
葬儀社などから紹介される「派遣僧侶」の場合などは、料金が決まっている場合が多いらしく、かえって気楽と考える方も多いようです。そうなると、お布施の「相場」は葬儀社が決めている???ということでしょうか?これも何だか本当かなぁ?という気がします。
お寺によっては、すっきり(?)金額を明記している所もあるようです。この方が楽という方も多いので、そのようにしているのでしょう。私も「お気持ちで」と説明するのに疲れているときは、「1万から3万ぐらいの間でお供えして下さる方が多いですよ」と言ってしまうこともあります。後でかなり長い間忸怩たる気持ちになってしまいますが・・・・